相良くんとかわいいものにかこまれたい！よん【今日俺】

それぞれのクリスマスは ページ24

間に合ってマジでよかった…！！！
俺はいつもの『うさぎ』の店員サンに感謝しながら、小さい紙袋の取っ手をを握った。
マフラーで口元を隠し、小さいため息をつく。

Aちゃんに似合うと思ってた星のトップスが入ってる。
そう、無事に買えたんだよ…！
もしかしたら売り切れてるかもなーと思ったりもしたが、この前の店員が取置きしてくれてたみたいだった。
ニヤニヤしながら。


「クリスマスにイルミネーションって憧れるよね〜」


すれ違った女の会話が聞こえた。
………憧れ、るのか、やっぱ。
立ち止まって、考える。
Aちゃんの喜ぶ顔が浮かんだ。
キラキラした背景にキラキラ笑うAちゃんとか、


「絶………ッ対、マブい」

「何がだ」

「うッ……ぅおお…！智司かよ驚かせんじゃねぇ！！」

「焦ってんなよ。ウケるな」


✧*。


白いセーターに、ふわふわの紺色のスカート。
鏡の前で動けば、それに合わせてスカートがふわりと揺れた。

ずっと楽しみにしてた、この日。


「相良くんと、イルミネーション…！」


もともとクリスマスは遊ぶつもりでいた。
ずっと憧れてた彼氏とのクリスマス…！
だからお小遣いを貯めて相良くんにプレゼントも用意してある。

けれどまさか、一緒にイルミネーションを観れるとは思ってなかった！
『あの、あー…』と、少し照れ臭そうに誘ってくれた様子を思い出してニヤけてしまった。


「ふふっ、Aちゃん嬉しそう」

「おおお母さん…！何で勝手に入るの…！」

「ノックしたよ？コート着ていくの忘れないでね？」

「お父さんたちももうすぐ出るけど、付いて来なくて本当にいいの？チケット当たった人だけ観れるイルミネーションなんだけどなァ？」


ひらひらとチケットを掲げながら誘惑してくるお父さん。
年頃の娘の部屋にしれっと入ってこないでほしいな。


「いいの！私は相良くんと観るイルミネーションがいいから！」

「本当に嬉しそうー！ほらお父さん！そんな誘惑、絶対Aちゃんはのらないよ？一緒に行きたい気持ちは分かるけど」

「わーったよ。お父さんらは、明日に帰るから一緒にケーキ食べような？」

「うん！楽しんできて！お土産楽しみにしてるから！」

「戸締まりは絶対確認すること！あと、えっと、」

「ふはっ。ほら、行くぞ」


「いってきます」と笑うお母さんと、私に手を振りながらそれを追うお父さん。
途中で「春ちゃん、マフラー忘れてっけど」と聞こえてきて笑った。

私もそろそろ行くぞ！

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