お似合いのお二人さん ページ4
「す、すみません!大丈夫です、か………。あ」
彼女は助けてもらった相手を見て小さく驚く。
斉藤もどうしたらいいのか分からず固まり、傘を支えたまま動かない。
「あ、か、傘、ありがとうございます」と、斉藤に支えてもらいながら急いで固定しなおした。
「お怪我はありませんでしたか…?」
もちろんこれは彼女から斉藤へ。
こんな些細な問いかけにも斉藤は緊張でわたわたと慌てる。
懐から小さいメモ帳を出して、ペンを動かしそれを彼女へ見せた。
『私は大丈夫です。そちらもお怪我はありませんでしたか』
走り書きで読みづらいかもしれないと思ったが、それを見て彼女はにこりと笑った。
「大丈夫です。ありがとうございました、助かりました」
『それは良かったですZ。この間はお団子を有難うございました。とても美味しかったです』
「覚えていてくださってたんですね!いきなりすみませんでした。お口に合いましたようで何よりです」
(会話が成立しているううう!!)
万事屋三人は見守りながら叫びたい衝動を抑える。
「凄い!!凄いですよ斉藤さん!ちょっと挙動不審だけれどちゃんと会話ができてます!(小声)」
「ほら見ろ!アフロはチャンスを逃さない子だったアル!(小声)」
「全く声を出さずに手書きで会話してくる上に変な語尾使う相手に動じないあの子もすげぇよ。もうお似合いに見えるよ。そのままくっついちまえよ!(小声)」
食い入って盛り上がる万事屋。
通りすがりの人たちがひそひそ話している。
「私服ではないということは、今日はお勤めですか?」
『はい。今は休憩中ですZ』
「ご苦労様です。あの、私も今から休憩なんです。さ…、先ほどのお礼に、あんみつなどいかがですか?」
会話ができているように見えるが、斉藤の精神状態はギリギリだった。
恋をしている相手が目の前にいて、その人と会話している。
文字は手の震えから歪んでいた。
そんな状態なのに二人で、甘味を?
今は顔を半分隠してくれている口布が有り難かった。
「そういえば、何とお呼びしたらいいですか?お名前…」
「!」
名前。
自分も聞きたかった、ずっと。
君の、名前はーーー、
ベリッッ
「えっ?あ、あの!」
しかし先に述べたように斉藤の精神状態はギリギリだった。
走り書きで言葉を列ねり、そのページを破って渡し、お辞儀をして走った。
取り残された彼女はポカンとし、勢いよく渡された紙へ目を通した。
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足が自爆型スメルテロ(プロフ) - 終兄さんの話で1番好きです、、、!!!続きが楽しみ。。。!!! (2021年2月24日 11時) (レス) id: 7e7b8fc71b (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - あびゃああああああああ!!この距離感好きいいいいいいいい!!! (2021年2月12日 18時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐(プロフ) - みるくこーひーさん» みるくこーひーさま!ご感想いただきまして有難うございます!斉藤さん尊いですよね…!微笑ましい感じで進めたいと思ってましたので、そう感じていただけて良かったです。これからも何卒よろしくお願いいたします! (2020年11月1日 22時) (レス) id: 0bf81dfdd1 (このIDを非表示/違反報告)
みるくこーひー - 微笑ましくてニマニマしながら見てます!!((←キモすぎワロス 応援します!頑張って下さい!ほんと尊い…(o^^o) (2020年11月1日 2時) (レス) id: 9336ab42b3 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐(プロフ) - ロキ・シャドラさん» ロキ・シャドラさま!コメントいただきまして有難うございます。終さんかっこいいですよね…!更新頑張ります。よろしくお願いいたします。 (2020年10月27日 22時) (レス) id: 0bf81dfdd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏仁豆腐 | 作成日時:2020年10月23日 22時