29 tears ページ29
月一でやる目安箱開封の仕事。
2人の空気は気まずいまま黙々と作業をしていく。
和「たまには女子のも見せろよっ」
いきなり口を開いたことに対して驚いていると、私の持っていた紙を和也は取ろうとした。
その内容は私が友達をいじめているというでっちあげだ。
こんなの見られたくない。
紙に込める力をぐっと強めるけど、男子の力には叶わなくて。
和「なんだよこれ」
「違うの。それはただ誰かが嘘をついて」
必死になればなるほど、和也は怪しむ目つきに変わっていった。
「そんな紙一切れより、私を信じてよ」
和「ごめん、俺は友達の彼氏なんだよ」
「でも、私は…」
和「友達に嫉妬したんだろ」
和也への気持ちは薄れたはずなのに、嫉妬という言葉に異常に反応してしまった。
「ごめん。今日は帰っていいよ」
和「仕事はやらなきゃ」
これ以上言っても喧嘩になってしまいそうだったから、また二人静かに作業をした。
前までは一緒に帰っていたけど、今日は無理だろうな。
でも、学校を出る時に和也が
和「まだ何も証拠は見てないし、俺は信じてるよ」
なんて言うから、私は和也のことを諦めきれないんだろう。
次の日からも変わらずに接してくれた。
学級委員として和也と笑いあったりもした。
理江子とも楽しく学校生活を送っていた。
そんな日々もアイツによって壊された。
サヨナラの号令をした後に、まだクラスメイトが教室に残っているころ。
友達「…ｸﾞｽﾝｯ」
友達が突然泣き出した。
そして私に、みんなに向かってこう言った。
友達「私、名前にいじめられてるの」
頭に雷が直撃したような感覚に陥った。
感傷に浸る前にクラス中から野次が飛んだ。
私は、悲劇のヒロインなんかじゃない。
ただの、いや。
一生不幸な脇役なんだ。
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作者名：あ お い ち ゃ ん こ | 作成日時：2019年2月25日 23時
