28 tears ページ28
委員会会議の教室にひと足早く着いた私たちは、隣の席に座った。
もちろんそれは同じクラスだからって話だけど。
和「さっきはごめん」
周りが見えてなかったって謝ってきた和也。
そんなことよりも、好きって言ったのに動じなかったことで頭はいっぱいだ。
和「俺はお前が嫌いになったわけじゃないから」
「そんなことより、何も感じなかったの？」
和「え？」
「私しれっと告白まがいなことしたんだよ。覚えてない？」
自分からこんなことを言えるなんて成長したなって褒めてくれてもいいくらい。
和也のとぼけた表情が怒りの根源になりそう。
一生懸命ふつふつと沸いてきた感情を抑えた。
和「俺も好きだったよ」
怒りという感情が一瞬で燃えた。
それと同時に涙が出てきた。
和「な、泣くなよ！」
和也は確実に焦っている。
いつから私のことを？
そして、いつ過去形に変わってしまったの。
「どういう…こと」
和「そのまんまの意味だよ。名前のことが好きだった」
再び聞いても過去形は変わらずそのままの形でいた。
何者かに首をギューッと絞められた感覚に陥った。
「文化祭の日、告白しようと思ってた」
和「俺も。全く同じだよ」
でもその日和也は友達と付き合い始めた。
軽いノリでかもしれないけど、少しのズレでこんなにもひどい結果になるんだ。
璃空達を憎んでも憎みきれない。
どうやったってもうあの日には戻れないのだから。
和「すれ違いってやつか」
すれ違いなんかじゃない。
あの日しっかりと気持ちは通じてた。
もう少しでくっつきそうなハートがパリンと割れたのは、私たちの周りにいた人たちのせいだ。
友達のことを断らなかった和也にその理由を聞けるほど、強くなれてない私は好きという気持ちを空に見送った。
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作者名：あ お い ち ゃ ん こ | 作成日時：2019年2月25日 23時
