26 tears ページ26
それからというもの私と和也は業務的なことでしか話さなくなった。
というか、話せなくなった。
先生「苗字！今日は残る日だからな。忘れるなよ！」
前期最終日。
目安箱の仕事で学級委員を終える。
最近話してないけど、私は和也が手伝ってくれるのを密かに期待していた。
みんなが帰っていく中、和也から目が離せないでいる私は変だろうか。
和也と目が合うとすぐにそらされてしまった。
結局1人教室に残り、いつもの倍時間をかけて仕事をして帰った。
少し休みが入って、後期が始まる。
次は図書委員にでもなろう。
学級委員には絶対にならない。
＿＿＿数日後。
先生「今日は後期の委員会決めをする」
まずは学級委員からだ。
お決まりのセリフをサラリと言いあげた。
私にとっては悪魔の囁きにしかきこえなかった。
また誰かが私を推薦するんだろうけど、今回は絶対に流されたりなんかしない。
先生「誰も立候補するやつはいないのか。じゃあ今回も推薦だな」
ザワザワと騒ぎだすクラスメイト達。
そのざわめきからは私の名前がたまに聞こえた。
和「苗字名前さんがいいと思います。前期やってたし、よく動けると思うんで」
きっと私を嫌う女子の誰かが言うと思っていたけど、実際は私の好きな人だった。
和也に言われたことで何倍も傷ついた私は硬直してしまった。
「私は、今回はやりません」
きっぱりと言ったつもりだった。
和「他にできる器のやつはいません。
先生もそう思うでしょ？」
先生は和也の意見を採用した。
先生「二宮さすがだな。先生も最初からそう思ってた。苗字、後期も頼んだぞ」
腑に落ちないでいると、席替えをして遠く離れたところから和也がまた発言をした。
和「先生、俺もやります」
友達や璃空達は次々に目を丸くして驚いていた。
1番驚いていたのは紛れもなく私だけれど。
先生「それは助かる。じゃあ後期の学級委員は苗字と二宮に決まりだ。二人に拍手！」
パラパラと手を叩く音がする。
納得いかないのは私と女子数名。
和也と一緒は嬉しいはずなのに、素直に喜べないのは無理やり推薦されたからだろうか。
それとも、周りの目を気にしている自分がいるからなのか。
私に今そんなこと考える余裕はなかった。
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作者名：あ お い ち ゃ ん こ | 作成日時：2019年2月25日 23時
