20 tears ページ20
和「家近いわけねえだろ。
スーパーからここの公園までどれくらいかかると思ってんだよ」
「私にしたらってことだよ笑」
部活も入ってない私には当然遠い距離だって誰もが思うだろうけど。
和「大丈夫なんだな、じゃあ帰るわ」
ベンチから立って歩き出した…と思ったら、
振り返って、
和「助けてって言えよ」
決して優しい目ではないけど、私を気にしてくれていたんだ。
「いいよ、これくらい…」
和「あぁもう」
ため息をついてから、ベンチにドサッと置いてあった重い方のビニール袋を持ち上げた。
「いいってば！」
和「これくらい男子はへっちゃらだから」
なんてことないよって表情はまるでヒーローのようだった。
「ありがと…」
和「よく言えました^^」
いつもならその上から目線にムカつくけど、
今の和也は周りが輝いてるような気がして何も言えなかった。
和「お前最近無理しすぎだよ。っていうか俺が来てからずっとそうだわ」
バレてたんだ…。
必死に隠し通そうとしてたけど、もう限界まで来てたみたい。
それでも弱音を吐いてしまったら、明日から何も頑張れる気がしなくて見栄を張った。
「そんなことないよ。友達に聞いてみなよ、ずっと私はこんなだから」
和「じゃあずーーーっと無理してきたってことだよね」
「そうじゃなくて…私は元々長女気質っていうか周りが思うよりも強い女だからね笑」
和「いや、十分お前は強いよ」
もうそれ以上やめて…。
強い女を演じてたってことがバレてしまう。
何もかも全て言ってしまいそうになる。
和也に私の醜い部分なんて知られたくない。
「うん、強いから私。
文化祭だって誰よりも頑張るよ」
和「俺も負けないくらい頑張るわ」
夕陽と重なったその横顔は何もよりも綺麗に見えた。
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作者名：あ お い ち ゃ ん こ | 作成日時：2019年2月25日 23時
