鬼の俺と人間の君が出会えた奇跡【うらたぬき】 (ページ9)

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奇跡が９個ページ9

「じゃあ、A大人しくしてるんだぞ！
……そらるさん、お願いします」

「うん。任せて
って言いたいところだけど、これどうしようね」

「あー！！うらたぁ、ダメ！Aも行くのー！！」

今日は、俺の仲間のところへ用事があるため屋敷を空ける。
まだ奴らにAのことを言っていないため、今日は1人で向かうことにしたのだが、

「だから、ダメだって！
ここにいないとお前食われるぞ！」

そう。
俺の仲間には血気盛んな奴がいて、人間を食ってしまう奴もいる。
特にこいつの匂いは、鬼には魅力的すぎるのだ。

「やだぁ！うらたといっしょがいいの！」

と、先程からこの調子で俺から離れようとはしない。
懐いてくれたのは嬉しいが、せっかく来てくれたそらるさんに申し訳ない。

お願い、と泣きながら腰に抱きついてくるAにため息をつきながら、目線を合わせる。

「A。俺もお前と一緒にいたいよ。
だけど、今日いくところは少し危ないところなんだ。
そんなところで俺はお前を失いたくない」

しっかりと目を合わせてそう言ってやれば、涙を止めて静かになるA。
俺はその頭をポンポンっと撫でた。

「よしっ！Aは大人しくできる？」

「……がんばる」

目にいっぱい涙を溜めながらも、必死に我慢しているAに無性に愛おしさが芽生え、その小さな体を抱きしめた。

「じゃ、行ってくるな？」

頷いた彼女を見届けて、俺は仲間の元へと向かった。

早く切り上げて帰ってこよう。
泣き虫なAのために