奇跡が８個 ページ8
うらたサイド
「うらたー！！おふろはいろ！」
「分かった！もう少し待ってろ」
あれからAはどんどん言葉を覚えた。
まだ難しい言葉は言えないけれど、物覚えが早いため日常生活に支障をきたすことはなくなって来ている。
「でも、あれ、だよな」
問題はある。
１つめは風呂。
年下と言えども、Aも15歳の女の子。
いつまでも俺と一緒に入っていては、今後俺の方がもたない。
２つめは着替え。
というより下着。
裸を見ているのだからと言われればそうだが、不器用な俺はなかなかにこれに苦戦している。
「いつか教えなきゃな」
「なにを？」
「いや風呂とか……ってA！」
髪にたくさん泡をつけたAが俺の横に立っていた。
「お前、最初風呂入ってたのか。
せめて泡流してこいよ」
「ちがうの。これうねうねしててあらえないし、めがいたい」
涙を流しながら俺に抱きついてくるあたりまだ独り立ちはできないらしい。
俺は上の服を脱いで、Aを風呂場に連れて行って顔を流してから、髪を洗ってやる。
「大丈夫そう？」
「あい！うらたうまいねぇ」
「なぁ、お前もそろそろ1人で入れるようにならないとな」
そう言ってやると、Aはばっとこちらを向いた。
「Aダメだった？ごめんなさいなの？」
不安げに瞳を揺らす彼女に微笑みかけて声をかけてやる。
「いや、Aは偉いよ。こんなにいっぱい言葉を覚えたしね。
ただ、俺とお前はその、少し違うからいつまでも一緒には入れないんだ」
ごめんな？と泡の落ちきった髪を撫でると、Aは安心した顔を見せてくれた。
そして、俺の腰に抱きついた。
「でもまだAはいっしょにおふろはいる！
うらた、ダメ？」
上目遣いで可愛くおねだりされては、俺の理性が飛ぶ。
俺はぐっと力をいれて、理性がとばないように気をつけて微笑んだ。
「じゃあ、もう少し、ね」
もう少しだけこのままで
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作者名：なつの | 作成日時：2019年3月6日 21時
