奇跡が１２個 ページ12
うらたサイド
「ただいまー」
すぐ帰るとAに言っておきながら屋敷に戻ったのは深夜だった。
(そらるさんに申し訳ないな……)
きっと暴れただろう。
それなのにこんな遅くまで見ていてもらって、感謝しかない。
(少しずつ俺以外にも慣れていかないとあいつのためにもならないしな)
俺は静かに居間に向かった。
意外にもまだ明かりは付いていて、最初は頭だけを入れて見てみるとそらるさんがソファで寝ていた。
「え、そらるさん、ここで寝たの？」
今度は体ごとそちらへ行くと、意外な光景が目に入ってきた。
「……いつの間にこんな慣れたんだ？」
Aがそらるさんの太ももに頭を乗せて寝ていた。
なるほど、これじゃそらるさんも動けないわけだ。
Aがそらるさんに慣れたのを嬉しいと思う反面、胸にはもやもやが広がっていき、俺は気づかないようにするために頭を振った。
そして、近くからブランケットをとってAにかけてやると、ん、とAが眠そうに目を開けた。
「うらた……？」
「あ、わりぃ。起こしたか？」
「うらただぁ」
「わ、ちょ！」
起きたAは、俺の腰に抱きついた。
その反動を支えきれず、2人で床に倒れる。
Aの頭はカバーしたつもりだが、少し心配だ。
「A、頭とか打ってない？」
「うってないよ〜。うらた、おかえりぃ」
「え、あぁただいま。
そらるさんとどうだった？」
「ご飯がね、おい…しかった……ょ」
「ふっ。飯のことだけかよ」
それっきり彼女からの反応はなくて、ただ気持ちよさそうな寝息だけが聞こえてきた。
(でも、楽しそうでよかった)
俺は彼女の頭を撫でると、小さな体を包み込むように眠りについた。
＊＊＊
更新もせず、ストックを作り続けた結果溜まってしまったので、一気に更新してしまいました！
ごめんなさい！
これからは少しずつ更新していきたいと思います……
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作者名：なつの | 作成日時：2019年3月6日 21時
