緑のたぬきさんに憧れて歌い手になったら、その人のことをもっともっと好きになりました。【うらたぬき】

たぬきが51匹 ページ5

うらたサイド


最近、Aが可愛く見える。


もともと可愛かったけど！


たぶん、初めて会った時にAに抱いていた気持ちと、今俺が抱いている気持ちは少し違う。


好きになったんだろうな


なんて、自分の中でまとめるのは簡単だ。
けれど、Aに会うたびに愛おしさが募る。
ふとした瞬間の笑顔も誰に対しても優しいところも全部が愛おしい。


けれどそんなふうに思っているのは俺だけじゃなくて、Aの周りにはそらるさんもまふもいる。
それが1番の最近の悩みなんだよなぁ。


「うらたさん。今日はありがとうございました」


モヤモヤと考えていた俺に突然Aは頭を下げた。
俺はびっくりして、体が震えてしまう。


「私、うらたさんとキャスするのも夢だったんです。それにコラボも！
まさか叶うとは思っていませんでした」


理由を聞けば、そんな答えが返ってきた。


(っ！なんだよそれ。すげぇ可愛い)


あまりの可愛さに自分も素直になってしまう。


今日初めて家が隣同士なのがもったいないと思ってしまった。

もっと話していたいと思うのに、こんな短い距離なんかじゃ全然足りない。




「叶えてやるから」



玄関で彼女に向かって言った言葉。


嘘なんかじゃねぇから。
Aの願いは俺が全部叶えてやりたいんだ。

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