緑のたぬきさんに憧れて歌い手になったら、その人のことをもっともっと好きになりました。【うらたぬき】

たぬきが83匹 ページ38

「あ〜にこちゃんやないですかぁ」


「今日は美人さんがいっぱいやな」


「センラさん、志麻さんこんばんは！
センラさんは完全に潰れちゃいましたね」


リビングにつけば、机に突っ伏しているセンラさんとけろっとしている志麻さん。
それに相変わらず坂田さんにくっつかれている和ちゃんがいた。


「そうなんよ。こいつら2人弱すぎひん？
てか、坂田がくっついてる女の子ってにこちゃんの妹なんやろ？」


「そうですよ〜！和ちゃんって言うんです」


「ふぅん…随分警戒心が強いんやね」


警戒心？と首をかしげる私とは正反対に、少しビクッとしながら志麻さんを睨みつける和ちゃん。
かと思えば、私には安心するように微笑みかけてくる。


「警戒心ってなんですか？」


「ん〜…。まぁ」


隣にいるうらたさんの耳元で聞けば、曖昧な答えしか返ってこなかった。


「にこちゃんも飲もぉや」


お酒の缶を私に掲げながら、呂律の回っていない口調で話しかけてくるセンラさん。
私は呆れながらもその缶を回収した。


「ダメですよ。センラさんもう完全に酔っ払ってるじゃないですか！ちゃんとお家に帰ってください」


「うん〜…俺今日泊まってくもん」


「おい、初耳だぞ」


言ってなかったんだ。
ほわほわとしているセンラさんにツッコミを入れるうらたさんを見て、少し楽しくなった。


「おねぇちゃん…」


「ん？どうしたの？…って」


振り返って見えた光景に思わず微笑みが溢れる。


そこには、和ちゃんに抱きついて、頭に顎を乗せながらすーすーと眠る坂田さんの姿があった。
和ちゃんは相変わらず嫌そうな顔だが、どうしようか戸惑っている姿が可愛らしかった。


「仲良いね」


「良くない！！」


助けて、と上目遣いで頼んでくる妹を、もう少しこのままにしておこうかな。なんて

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