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たぬきが81匹 ページ36

「またあなたですか」


「え〜っと…」


「それで?何の用?」


玄関まで歩いて来た和ちゃんとうらたさんの間に微妙な空気が流れる。


「Aに家に来てもらおうかなって…
俺だけじゃこいつら酔っぱらいの面倒見きれないし」


「そんな理由でこんな時間に女子1人を連れ出すんですか?
とんだ非常識ですね」


「それは、まぁ」


「和ちゃん!私から言ったの。だからちょっとだけ行ってくるね?」


しどろもどろなうらたさんに言葉を重ねる和ちゃんを宥めれば、言葉に詰まってしまったように顔をしかめる。


「でも、お姉ちゃ」


「ん〜…うらさん、ここどこ?あれ?誰ぇ?その子」


「坂田さん……?」


私たちが話しているのが騒がしかったのか、坂田さんが目を開け、そして和ちゃんに目を向けた。


「ふふ、かわいい子やねぇ」


「え!ちょっと!」


「あ、おい!坂田!」


ふらふらと歩き出した坂田さん。
かと思えば、和ちゃんに抱きついて自分の頬を和ちゃんの頭に乗せる。


和ちゃんは顔をしかめているが、坂田さんはとても気持ちよさそうな顔をしていた。


「名前なんて言うん?にこちゃんの妹なんやねぇ」


「言うわけないでしょ。初対面の相手に向かって」


「ん〜…でも教えてほしいねん。名前教えて?」


「いや」


「ケチやなぁ。せや、一緒に来たらええやん」


まだ一緒にいたいし、なんて言う坂田さんに対して今まで見たことないくらい顔をしかめる和ちゃん。


「はぁ⁉嫌にきま」


「いいんじゃねぇの?」


どうしたものかとあわあわしている私とは正反対の、意地悪な凛とした声が聞こえてきて、そちらを見れば少しニヤッとしたうらたさん。


「Aの事心配なんだろ?
それに坂田もお前のこと気に入ってるっぽいし、お前がいればAも楽になると思うぞ?」


「あなたね……っ!」


どこか悔しそうな和ちゃんにフォローを入れようとすると、坂田さんがいきなり和ちゃんの手を握って歩き出した。


「え、ちょっ」


「来てくれるんやろ?ならはよ行こ」


「まだ行くなんて言ってな」


グイグイと引かれながら和ちゃんは家を出て行った。


「俺らも行くか」


「はい!」


取り残された私とうらたさんも隣で肩を並べて一緒に歩いた。

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なつの(プロフ) - ひよりさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると自信が持てますー!実際はまだまだなんですけどね笑 コメントありがとうございます! (2019年3月5日 23時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ひより - この話とっても面白いです!更新楽しみにしているので、これからも頑張ってください!!! (2019年3月4日 22時) (レス) id: 4600ab77d3 (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - コメントありがとうございますー!!和ちゃんと坂田さんは書いていて作者も楽しいです笑 2人の展開も楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2019年3月2日 22時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - 今までこっそり見させて頂いておりました!和ちゃんと坂田さんの絡み大好きです、もっとイチャイチャして!(笑)これからも無理せず更新頑張ってください!! (2019年3月2日 20時) (レス) id: be5de4e45a (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - ありがとうございますー!!コメントすっごく嬉しいです!だこれからの展開もぜひぜひ楽しんでください^ - ^ (2019年3月2日 20時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつの | 作成日時:2019年1月13日 11時

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