緑のたぬきさんに憧れて歌い手になったら、その人のことをもっともっと好きになりました。【うらたぬき】

たぬきが79匹 ページ34

「ただいまー！」


「おかえりなさい！」


「わあっ！和ちゃん」


仕事から帰って玄関を開ければ、走って抱きついてくる和ちゃん。
昔を少し思い出して、心が暖かい。


「ふふ。和ちゃん、猫みたい」


「んー？そんなことないよ〜」


頭を撫でれば気持ちよさそうに微笑む。
やっぱり猫っぽい


「あ！ご飯作ったよー！食べよ」


「えっ！本当に⁉ありがとう」


手を引かれてリビングに行けば、美味しそうなハンバーグやスープが並んでいる。
早速2人で食べ始めた。


「っ！！おいしいっ！」


「えへへ〜良かった！」


「そう言えば和ちゃんはあと1年で卒業？」


「ん〜そうだけど」


和ちゃんには珍しくもごもごとした話し方に首を傾げていると、どこか嬉しそうに恥ずかしそうに口を開いた。


「…実はね飛び級審査を受ける予定なの。
先生から勧められて、あと1年じっくり勉強したい科目もないからいいかなぁって。
先生からの推薦だから、ほぼ決まったようなものなんだって」


「えっ！すごい！」


「いや、でもまだ決まったわけじゃ」


「そうかもしれないけど！先生から推薦もらえるのが凄いよ！
和ちゃんはやっぱり凄いなぁ」


「……でもお姉ちゃんの方が」


ピーンポーン


「あ、誰だろ？見てくるね！帰ってきたら続き教えて！」


私は和ちゃんの話を遮り、玄関へと向かう。
時間的に人がくるなんて珍しいなと思い扉を開ければ、いきなり抱きつかれた。


「えっ！ちょ、あの？」


「ん〜あれぇ？にこちゃん？」


抱きついてきた人は酔った様子の坂田さんだった。

たぬきが80匹→←作者から

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す