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5話 ページ5

「お…わったー!!」


「終わってほんまによかったですわ」


岩崎さんから書類を受け取って、あれから3時間はたち、今は11時。


もっとかかると思っていたが、センラさんのお陰で助かった。


「そろそろ会社出ましょう。鍵しまってまいますよ」


どんな時も爽やかスマイルのセンラさんが眩しく感じながらも、2人で会社を出た。


暗い。


都心ではあるものの、この時間帯はなかなかに暗く、進んで歩こうとは思わない。


どうしようか。
電車で帰ってもいいが、駅まで距離がある。
暗い中を通るよりもどこかホテルでとまって、翌日出勤しようか。


「…俺車なんで送って行きますよ」


悩んでいた私を見透かすように言う彼。


気持ちはとても嬉しいが


「男の人に送られるのは…」


「ばりばり声に出てますよ」


「うそ!!」


気づいてへんかったんですねー、と言いながら軽く私の手をとる。


「大丈夫ですよ。なにもしません」


きっと彼はとても気遣いができるのだろう。
私が男の人を気にしているのは、自分が女だからであるのと坂田さんがいるから。


彼はどちらも汲み取って言ってくれている。


(それでも)


「ごめんなさい。やっぱり私電車で帰ります。だから」


手を引かれたことによって言葉が遮られる。


センラさんはスタスタと歩いており、それに引かれるように私も歩く。


「へ⁉あの、センラさん!!」


「嘘つきましたよね」


「へ?」


う、そ?何のこと?


身に覚えがなく、首を傾げた。


「電車で帰るって。暗いとこダメなのによく言えましたね。駅まで距離ありますよ」


「あ…。バレてた」


「変なとこで強がんなや。俺の前では強がんなくてもええから、だから無理だけはせんといて」


少し雑な彼の口調。


自分が叱られていることに気づいて申し訳なくなるのと同時に、なぜだかそのままでいていいと言われているようで心が軽くなった。


その後はしばらく無言で車に乗っていたが、センラさんが積極的に話しかけてきてくれたお陰で気まずくなることはなかった。

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なつの(プロフ) - 闇雲さん» ありがとうございます!最近時間が取れず、ここまで更新が長引いてしまいました。やはりコメントの力はすごいですね!かなり元気付けられました!本当にコメントありがとうございます!! (2019年5月14日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
闇雲 - ヤバイですね!!もう、心臓がバックバクで、今にも張り裂けそうな感じがします!!凄いいい話だと思います!!更新頑張って下さい☆期待してます!! (2019年5月14日 1時) (レス) id: a89d1b894b (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - やさん» ありがとうございます! 浮気ものは思っていたより難しく感じていたので、そう言っていただけると嬉しいです!これからも更新頑張ります!!! (2019年1月17日 18時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして!坂田さんの浮気の理由とか、センラさんのつけこみ方とか全てが本当に大好きで、、!この作品とても楽しみにしています!今後の更新待っています! (2019年1月17日 9時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - 紅葵さん» ありがとうございます!こちらの作品は更新がかなり遅れていますが、必ず更新しますので待っていただければ幸いです。ありがとうございます! (2019年1月9日 20時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつの | 作成日時:2018年12月15日 15時

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