【あほの坂田】あなたを好きでいたかった【センラ】

26話 ページ27

美琴サイド


「なんなのアイツ！！」


半分涙目状態の私は、社内の廊下を荒々しく歩く。
周りの社員から見られているがそんなのかまわない。


「せっかく今日会おうと思ったのに！」


折原が言っていたことはあながち間違いじゃない。
私は今日男に会う。
ただその相手が彼氏ではなく、彼女持ちの男なだけ。


「もう！メールいれなきゃいけないじゃん！」


スマホの電源をいれて『坂田 優』というアドレスを探す。


《ごめん！今日残業で会えない(＞_＜)ごめんねぇ、大好き！》


こんな文を打っておいて顔は怒りに染まっている。


この人がA先輩の彼氏であることは知っている。
それなのに関係を持っている理由など簡単なものだ。


「人が食べてるものって美味しそうにみえるのよね」


だから声をかけた。
よほど先輩と上手くいってなかったのかすぐに関係を持てた。
しかし、彼は2人で会っていても先輩のことを考えているようで私を見てはくれない。


そんな優くんに苛立ちを覚えているものの別れないのは、自分の自尊心のせい。
優くんと関係を持てるのは、あの美人で完璧な先輩に勝てたような気がするのだ。


「でも疲れちゃったなぁ」

先輩に媚び売るのも、自分に振り向いてくれない優くんと関係を持つのも。じゃあいっそのこと


「全部こわしちゃおう♪」


苛立ちはどこへやら、私はにこにこしながら優くんへメールを送る。


「楽しみだなぁ」

27話→←25話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す