たぬきと絶対わかれてやる！！【うらたぬき】

Day 3 ページ9

「やったー！宮城だー！」


久しぶり！
人はやっぱりいっぱいいる！


「ちょっと危ないからね」


1人で歩き出すと腕を引かれて、頭に何かが当たる。
それは私の腕を引いた人の胸だった。


「あ、そらるさん！」


「なんで今初めて会ったみたいな反応するの。
一緒にきたでしょ？」


「知ってるよ！！」


私はそこまでばかじゃない！
そらるさんが迷子になっていただけだ


「……言っておくけど迷子になったのはAだからね」


「なにも言ってないのに……」


はぁ、とため息をつくもののそらるさんは私の頭を優しく撫でた。
そしていつものように服の裾を私に掴ませる。


「はい、はぐれないでね。
家まで送って行ってあげるから」


「えへへ、ありがと！そらるさん」


宮城に帰ってきたときは必ず、そらるさんが私を家まで送っていってくれる。
なんでも、1人で行かせるのが不安だからなんだって。


(でも私ちゃんとお家の場所覚えてるけどなぁ)


久しぶりに帰ってきても、長年住んだ場所。
さすがにわかるもん！


「そらるさん、こっちだよ？」


「うん、そうだね。それは俺の家の方向ね。
Aの家はこっち」


「あれ？そうだっけ？……あ！ここ右でしょ！」


「何も考えないでまっすぐ進めば君の家」


あれ？知らない間に道が変わったかな？
なんて考えていれば、見たことのある家が近づいてくる。


「はい、ここがAの家」


「本当だ！すごいね！そらるさん」


門の前に立てば、勝手に開く扉。
この感じも懐かしい気がする。


「……やっぱお前の家すごいな」


「そうかな？」


ぼそっとそらるさんが言った言葉に不思議に思う。
私はこの家よりもわっくんのお家の方が好き。


「お帰りなさいませ、Aさん。
今回もありがとうございます。彼方さん」


門が開くとすぐに何人かの人が来てくれる。
彼らは私が小さい時にお世話になった、使用人さん達だ。


「ただいまー！久しぶり！」


「いえ……。じゃあ俺はこれで」


「待ってください、彼方さん」


家の奥から聞こえた声に、そらるさんがげっと言ったのがわかる。
私はその人を見て思わず抱きついた。


「ただいまー！ちぃくん！」


そう言うとちぃくんは笑った。


「お帰り、姉さん」


＊＊＊


一ノ瀬 彼方

歌い手のそらるさん


新キャラについては、次のお話で明かしていきます！

そらるサイド→←うらたぬきサイド

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す