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「そらるさぁん……」
半泣きで彼を見ると、楽しそうにまた笑う。
この人、人の泣き顔見て笑ってるの⁉
「そらるさん、俺いるのわかっててさっきの話してたでしょ」
「うぇ⁉そうなの⁉」
「ははっ!ごめんごめん」
わっくんは不機嫌そうに私の頭を軽く叩く。
それは全然痛くなくて、やっぱり彼は優しいのだと感じざる得なかった。
「うらたくん、本当にこいつあほだね」
「それは否定しませんけど。
密かに狙うのやめて下さい」
「わっくん。そらるさんは多分、私のこと狙ってないよ?」
「ややこしくなるからAは黙る」
そう言うと、わっくんは私の口を片手で押さえた。
ねぇ、これ虐待じゃないかな?
捕獲されてる上に口塞がれてるんだけど
「バレてたか。うらたくんも大変だねぇ」
「主にあなたに苦しめられてますけど」
「ははっ!ごめんって。
じゃあ、俺帰るね。またね?A」
そう言うと、そらるさんは捕獲されてる私の頭を撫でて帰って行った。
「はぁ……。お前は本当に」
わっくんは私の拘束をとき、私の頭を撫でた。
「わっくん?」
「あのさ、そらるさんと2人で遊ぶのも、地元に帰るのもいいよ」
「うん!わっくん優しいもんね!」
「そう言うことじゃなくてさ」
苦笑しながら私をソファまで連れて行き、座るよう促すわっくん。
気づけば目の前には紅茶とケーキが置いてあった。
「わぁ、ケーキ!」
「さっき買ってきた……んで話の続きね」
「うん!」
「お前の交友関係を縛りたくないから特に何も言わないでいるけど、俺に何も言わずに男と2人きりになるのはダメ。
誰と行くのか、どこに行くのかは言ってほしい。
何かあったら困るから」
ね?と言い聞かせるわっくんはすごくかっこよくて、話の内容なんてほとんど入ってきてない。
「わかった!」
「……分かってないのに無駄に良い返事はするなよ」
はぁ、とため息をつく彼に私はしっかりと言った。
「わっくん!宮城にそらるさんと行っても良いですか!」
「そういうことなんだけど、そうじゃないんだよなぁ」
わっくんは私の口の横についたクリームを拭きながら苦笑した。
「行ってらっしゃい」
「やったー!わっくんありがと!」
私はケーキを食べ進めて、はっとする。
「私、わっくんと別れるんだった!」
「別れないっつの」
ペシっと軽くわっくんに頭を叩かれた。
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なつの(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!拙い文章ですが楽しんでいただけたようでとても嬉しいです! (2021年1月12日 8時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - めっちゃ泣きました!!!文才が…もう…(語彙力) (2021年1月11日 22時) (レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - 刹那@pdaoさん» コメントありがとうございます!そうでしたか!楽しんでいただけて何よりです。後進の方も頑張っていきたいと思いますので、これからもぜひお楽しみください! (2020年7月17日 22時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
刹那@pdao - もうすでに布団がびしゃびしゃになりました(www)こういう類いのお話すごいすきなんです!ありがとうございます!ごちそうさまです!更新頑張ってください!!! (2020年7月12日 22時) (レス) id: 3de1e2bdfb (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - WAIHA,AIRA:さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきたいと思います!更新、ぜひ楽しみにしていてください! (2020年4月28日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつの | 作成日時:2020年4月12日 16時