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うらたぬきサイド ページ48

「おはようございます。うらたさん」


「おはようございます」


俺に綺麗な礼を見せたのは、門を管理している男の人。


「今日は天気がいいですね。Aさんもいらっしゃるかと思います」


「そうですか!よかったぁ」


今ではこんな親しく話しかけてくれたりもする。
まぁそうだよな_3週間毎日通ってるわけだし


案内された見慣れたリビングで俺は内心ため息をついた。


(ここまでされてるのに、よく通えるよなぁ俺も)


お茶を飲みながら自分に少し呆れる。
けれど、もう通うのが嫌だ、なんて思うことは絶対にない。
むしろ、毎日通ってAに会えるのなら満足だ。


「……おはようございます。うらたさん」


満足感に浸っていれば、聞こえた凛とした声。
俺は思わず笑顔でそちらを見た。


「おはよう。A」


そこには着物を着て、こちらを見据えるAが立っていた。


「毎日毎日、よくいらっしゃいますね」


「そうすれば、お前に会えるだろ?」


「……私はそこまで暇ではないのですが」


着物の裾で口元を隠し、冷たく言い放つA。


最初はびっくりしたものの、Aのこの態度や言葉遣いにも慣れて、余計に彼女を好きになった。
だってこれ、俺のための態度なんだろ?


俺は少し笑いながら、Aと話す。
時々、俺が言った言葉に冷たい態度や目をするが、それにも慣れてきている自分が怖い。


「なぁ、いつ帰ってくんの?」


「いつ、とは?私はここから離れるつもりはありませんが」


「本当に?」


「何が言いたいんですか?」


じっと目を見ればたじろぐA。
これも最近分かった。
内心動揺しているんだって


俺は心の中で笑った。


どんなに冷たい態度を貼り付けたって、根っからの優しさはどうしても消えない。


(もう諦めろよ)


俺は不思議そうにこちらを見るAに微笑む。
あれ?少し顔が赤くなった?
着物の袖で見えないけど、照れたのか?


(俺がお前を諦められるわけがない。だって)









_こんなにお前が好きなんだから

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なつの(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!拙い文章ですが楽しんでいただけたようでとても嬉しいです! (2021年1月12日 8時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - めっちゃ泣きました!!!文才が…もう…(語彙力) (2021年1月11日 22時) (レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - 刹那@pdaoさん» コメントありがとうございます!そうでしたか!楽しんでいただけて何よりです。後進の方も頑張っていきたいと思いますので、これからもぜひお楽しみください! (2020年7月17日 22時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
刹那@pdao - もうすでに布団がびしゃびしゃになりました(www)こういう類いのお話すごいすきなんです!ありがとうございます!ごちそうさまです!更新頑張ってください!!! (2020年7月12日 22時) (レス) id: 3de1e2bdfb (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - WAIHA,AIRA:さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきたいと思います!更新、ぜひ楽しみにしていてください! (2020年4月28日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつの | 作成日時:2020年4月12日 16時

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