たぬきと絶対わかれてやる！！【うらたぬき】

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「ふぇ……？なん、で？」


「俺も知りたいんだけど、何この状況」


強く抱きしめたあと、私の顔を見て苦笑したのは間違いようもないわっくんだった。


「お、お料理、失敗して……めまいして、わっくんで」


本当になんでわっくんがいるの？
疲れた私の幻覚かな⁉


「ふはっ！動揺しすぎ。続き、俺が作ってもいい？」


「え、う、うん」


私からエプロンを取り、着替えてくるように言ってから今度はわっくんがキッチンに立つ。


私が着替えて帰ってくると、床の汚れも無くなっていて、ご飯も完成していた。


「わぁ、すごいねわっくん！」


「ほら、席ついて。顔汚れてるぞ」


微笑みながら、私の頬を擦って汚れを落とすわっくん。
その感覚が懐かしくて、不意に泣きそうになった。


「あ、待って！なんでわっくんいるの？
別れたんだよね？」


思い出したようにそう言った私に、あからさまに不機嫌そうな顔をするわっくん。


「俺、別れるなんて言ってないだろ」


「え？」


「好きにしろ、とは言ったけど、別れるなんて一言も言ってない」


そうだっけ？
私は記憶を手繰り寄せる。


「あ！たしかに！！……え、ずるくない⁉」


「ずるくないよ。お前が勝手に別れた気でいただけ」


「だってわっくん帰ってこなかったじゃん！」


「やっぱ忘れてたか……。俺、まーしぃの家に泊まりに行くって言ってなかった？」


私はぽかんとする。
え？別れたわけじゃ、ないの？


「ちょっとした仕返しだったんだよ。
お前がしょっちゅう別れる、なんて言うからその仕返し」


「！！……それは！その……ごめん、ね？」


「ははっ！いいよ別に」


笑っているわっくんを見て罪悪感を感じる。
わっくん、すごく寂しかったけど、でも別れなきゃいけないんだよ。
わっくんが笑っていられるように


私が下を向いていると、頬を包まれ強制的に上を向かされた。


「大丈夫だよ」


「え？」


「お前が何を考えてるかなんて分かんねぇけど、受け止めてやるから。
言っただろ？離す気ないって。俺から逃げられると思うな」


な？と言って笑うわっくんに涙がこみ上げてくる。


わっくんに笑っていてほしくて別れようとしていたけど、実際それに耐えられなかったのは私。


この先、彼と一緒にいることを望んではいけないことはわかってる。


(けど、今だけでも)


流れる涙を拭いてくれるわっくんを見て、私は心の中で呟いた。






ー今だけでも貴方と居てもいいですか？

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