うらたぬきサイド ページ16
なんで千景がいるんだ!
俺は目の前に座る千景にお茶を出しながら、心の中で叫んだ。
「わっくん、突然ごめんね?」
そう言うAの顔は少し涙目で何も言えなくなる。
安心させるように頭を撫でてやると嬉しそうに笑うものだから、彼女には勝てないと心底思う。
「姉さん、僕から説明するよ」
にこにことAに笑顔を見せる千景。
普通そういう愛想笑いって俺に見せるものじゃねえの?
「実は今日から1週間、本家で仕事があるんです。
ああ、本家があるのはここら辺の近くなんですけど、ホテルから通うつもりだったんです。
そしたら姉さんが、うらたさんのお家から通うのはどうかと提案してくれて」
にこっとやっとこちらに愛想笑いを向けながら千景はそう言った。
正直俺的にはホテルから通ってもらった方がありがたい。が、
「わっくん、勝手に提案しちゃってごめんね?
だってちぃくん1人でホテルに泊まるなんて危なくて」
俺の袖をきゅっと握りながらそう言うA。
まぁ、たしかにその危険はあるよな、なんて思いながら俺は千景に言った。
「分かった。1週間、なんだよな?」
「はい。もちろん」
こいつの笑顔ほど信用できないものはないな、なんて思っているとAが突然大声を出した。
「あー!」
「え、なに。どうした?」
「私今日まふさんと遊ぶ約束してた!」
行ってくるね!と急いで言う彼女を見送ってはたと気づく。
「……初日から2人きり、ですか」
俺が思っていたことを千景が代弁した。
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なつの(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!拙い文章ですが楽しんでいただけたようでとても嬉しいです! (2021年1月12日 8時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - めっちゃ泣きました!!!文才が…もう…(語彙力) (2021年1月11日 22時) (レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - 刹那@pdaoさん» コメントありがとうございます!そうでしたか!楽しんでいただけて何よりです。後進の方も頑張っていきたいと思いますので、これからもぜひお楽しみください! (2020年7月17日 22時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
刹那@pdao - もうすでに布団がびしゃびしゃになりました(www)こういう類いのお話すごいすきなんです!ありがとうございます!ごちそうさまです!更新頑張ってください!!! (2020年7月12日 22時) (レス) id: 3de1e2bdfb (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - WAIHA,AIRA:さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきたいと思います!更新、ぜひ楽しみにしていてください! (2020年4月28日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつの | 作成日時:2020年4月12日 16時