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放課後までてっちゃんは教室に戻ってこなかった
私は1人で部活に向かう。
下駄箱で靴を履き替えててっちゃんに連絡した
花てっちゃん部活くる?
それだけ送って携帯を閉じた
自販機からは聞き覚えのある声。
『としみつ先輩は何飲みますか?』
としみつ…
来た道を引き返して違う場所から部室に向かおうとした
と「待って。」
自販機にいたはずのとしみつが私の腕を掴んでる
「なに。後輩置いてくるとかダメじゃん。」
何故か涙が溢れそうになる
と「何で泣きそうになってんの?」
「は?なってないし。」
と「なっとるやん」
「離して。」
と「やだ」
無理矢理振り解こうとしたけど男の子の力には勝てない
腕を掴む力はどんどん強くなる
「ねえ、痛い。部活遅れるし早く離して。」
と「嫌っていってんじゃん」
後輩ちゃんは凄い私たちを見て焦ってる
「ほら後輩も見てるから」
そう言えばとしみつの手は離れて無言でいなくなった。
腕に残る感触はまだ少し温かさを残してる
溢れてくる涙は止まらなくて行き場の無い怒りをどこにぶつけていいかも分からない
て「花?どうした?!」
慌てて鞄からジャージを取り出したてっちゃんはそれを私にふわっと被せて
て「こんなとこで泣いてたらみんなに見られるよ。」
「てっちゃん…」
て「何があったか知らないけど話さんでいいよー」
て「部活もサボっちゃおっか」
てっちゃんは私を“癒されスポット”って所に連れてくなんて言って走った
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作者名:叶芽 | 作成日時:2019年6月15日 16時