恋人になりたい重岡くんと友達でいたい佐野さん

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｢うわっ、びっくりした！しげと佐野、キスでもしてんのかと思った！｣




しげと睨み合ってると、後方からそんな声が聞こえた。





『は、はぁ！？』




動揺したしげの手から解放されて、後ろを向くと、そこには驚いた顔の中間先生。



あんたいい歳して｢キスでもしてんのかと思った！｣はないわ、中学生か。





『してへんし！誰がこいつと！』


｢おいこら｣




そのこいつのことが好きなのは誰だよ。


誰だよ、みんなの前でアピールしてやるっつったのはよ。




わたしたちのやりとりにクラスが笑いに包まれる。




｢よっ！夫婦！｣って声も聞こえてくる。

...いつものパターンだ。






｢別に付き合うんはいいけど学校でイチャつくんはやめとけよ〜｣




｢中間先生、思春期ですもんね。カップルのイチャつきとか思春期男子には毒ですよね｣




｢佐野、お前は今以上に英語の成績下げられたいんか？｣




中間先生はわたしを脅し、ペシン、と出席簿で頭を叩いて教卓に向かった。




｢もう重岡と佐野付き合っちゃえばええのに〜｣



｢それ！お似合いだよ〜｣



｢『は！？』｣




クラスメイトが｢そうだよ！｣とか｢付き合っちゃえ！｣とか口々に言う。




やめてよ〜なんて笑いながらしげの方をチラ見すると、なんとまあ。






重岡くん、顔を赤くして俯いているじゃないですか。





顔を上げたしげとバチッと目が合う。





『付き合っちゃえ、やって』




｢はぁ｣




『.....付き合う？』




｢付き合わへんわ！｣




何ちょっと期待した目で見とんねん！わたしは流されんわ！



｢重岡振られてやんの〜｣とからかう男子達。




しげは顔を真っ赤にしながら『このニコニコ天使ちゃんを振りよったで、こいつ！』とおどけてみせた。



『佐野に俺は勿体ない！』


｢ふざけんな｣




たぶん、みんなは知らないのだろう。こいつがわたしのこと好きだって。




そりゃそうだ、この扱いだもの。





いつもの漫才だと思って______









｢しげ、ほんまは佐野さんのこと好きやろ？｣









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