恋人になりたい重岡くんと友達でいたい佐野さん

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｢こんな時間に何しとるん？デートでもしてたん？｣






頭にはてなマークを浮かべた流星がわたしたちにそう問う。





｢違うよ。クラス会の帰り｣



｢へー。ええなぁ、楽しそう｣





ぽやぽやとしてて掴めない雰囲気を放つ流星。



こんなに美形だし一見関わりづらそうな見た目なのにこの雰囲気だからモテるんだろなぁ。なんて関係の無いことを考えてしまう。






『流星こそこんな時間にどうしたん』




｢俺は神ちゃんと遊んでた｣




『あー！神ちゃんか！同じクラスやったっけ』





神ちゃん.......神山くんか。



神山くんは、去年わたしとしげと同じクラスだった男の子。




2年生のクラス替えで｢またしげとAとクラス違うし...仲良い奴とも離れてしもた....｣と珍しくしょげていた流星。




神山くんと仲良くなったんだなあ、よかったよかった。




神山くんとってもいい子だしな。世話焼きさんだから流星かなりお世話になってるんだろな.......。





｢んで、2人は今何してたん？揉めてたやろ｣



｢あぁ、しげが危ないからって家まで送るーって言うてくれてんやけどしげこそ危ないからいいって何回断っても送るの一点張りでそろそろキレて右ストレート入れようか思うてたとこ｣





『おいコラ』





｢あー、そういうこと。じゃあAは俺と帰ろ｣





帰ろ、っていうか家道路挟んで隣やん。なんてツッコミは心の中で抑えた。




『.......』




｢.......あ。ごめんな？しげ｣



『は！？何も言うてへんやろ！』




｢俺とAが家近いばかりに.......｣




何の話してんのコイツら.......？




『うるさいうるさい！はよ帰れ！もうちょいで補導やで！！』



｢先生か｣



｢しげ送らんても大丈夫？俺が送ったろか？｣




『流星お前覚えとけよ』





じゃあ、としげと別れる。





別れ際、しげは複雑そうな顔をしていたけれど。





｢ちょっとしげに悪いことしたなぁ｣



｢え？｣



｢んふ、Aは相変わらず鈍感やなぁ｣






ド天然流星には言われたくないけど。






『しげも大変やな』






そう呟いて、わしゃわしゃとわたしの髪を大きな手で撫でる流星の目はすごく優しくて、






中学生の頃のあの1件を思い出して少し切なくなってしまった。






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