恋人になりたい重岡くんと友達でいたい佐野さん

. ページ40

.




｢何や、小瀧言わんかったんか｣



｢いやだって自分から今日誕生日です〜なんて言えないじゃないっすか｣






みんな｢何で言ってくれへんかったん！？｣の質問攻め。




囲まれてる小瀧くんは苦笑いでごめんごめんと言っている。





『みんな！アイス持って！』





ガヤガヤしている中、しげだけは中間先生と一緒にアイスを配っている。





『みんな持ったな？』







みんなで縁になってしげが大きく息を吸った。









『はっぴばーすでーとぅーゆー！！』





そして、急にバースデーソングを大声で歌い始める。





わたしの隣にいた中間先生は｢ふっ｣と嬉しそうに笑って、しげに習って歌い始めた。





そしてみんなも歌い始める。





小瀧くんは驚いた顔。





｢｢｢｢｢はっぴばーすでーでぃあ 小瀧〜！！！ はっぴばーすでーとぅーゆー！！｣｣｣｣｣







『はい！小瀧、おめでとうー！！』





しげはそう言って小瀧くんのアイスに自分のアイスをぶつけて乾杯の真似をした。





小瀧くんは驚いた顔から嬉しそうに表情を歪めた。





｢ありがとう｣





みんな小瀧くんに乾杯をしていく。




小瀧くん、感激しちゃって涙目。本当に純粋な人なんだろうな。






｢最高の誕生日になりました！ありがとう！｣





涙を浮かべながら顔を真っ赤にして、でも笑顔でそう言った小瀧くんにみんなから拍手が送られた。






みんなアイスを食べ終えて、花火をし始める。





わたしは瑞希と地味に楽しんでいた。





｢ごめん、A。ちょっとトイレ行ってくる｣




｢おっけい、暗いけど大丈夫？一緒行こうか？｣



｢ううん、大丈夫｣





瑞希はそう言ってトイレの方へ向かって行った。





手持ちの花火もなくなって、わたしは携帯をいじっていた。







ボーッと画面を見つめていると、目の前に人影。





座り込んだその人影を携帯から目を離して見ると、






｢あ、しげ｣




『1人で何してんねん』






花火をいくつか持ったしげが向かい合うように座り込んでいた。





『渡辺は？』




｢ん、トイレ｣




『ふうん』





しげは自分から聞いたくせに興味なさげにそう呟いて、わたしに花火を渡してきた。




そして自分が持っていた花火にライターで火をつけ、『ん』とわたしの花火に火を移してくれた。









.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す