恋人になりたい重岡くんと友達でいたい佐野さん

. ページ21

.




お洒落なカフェの中に入って、小瀧くんとわたしはアイスコーヒーとそれぞれ決めたケーキを注文した。




こんなお洒落なカフェが近くにあったんだなあ。





店員さんが注文した物を運んできてくれて、2人で小さく｢頂きます｣と手を合わせた。







｢雰囲気ええとこやね、ケーキも美味しそうやし｣



｢な！いつか来たいなと思っててん。来れて嬉しい｣




小瀧くんはガムシロップとミルクを入れたコーヒーをストローで掻き混ぜながら嬉しそうに言った。




コーヒーも美味しいしケーキも美味しい。



連れて来てくれた小瀧くんに感謝だな。




｢そういえばさ｣


｢ん？｣



｢佐野さんってさ、好きな人おらんの？｣



｢んぶっふ！！！！！｣





危うくむせかけた。目の前にいる小瀧くんの綺麗な顔面にぶっかけるとこだったよ。




｢え、そんなに驚く質問？｣



｢いや……そういう話と無縁な人生だったんで｣



｢えぇ？女子って好きな人の話めっちゃせえへん？｣




｢そういう系女子じゃないもんで……｣




確かに女子は恋バナ好きだよね。いつもしてるイメージ。




でもわたしと仲良しな友達とはまったく好きな人とかの話にならない。



しても、クリスマスやバレンタインに｢リア充はイイネ〜(棒)｣って言うくらい。




本当、そういうのに興味が無いというかなんというか。




興味が無いとかじゃないかもしれないけど、今は全然だな、恋とか。





｢おらへんよ、好きな人｣



｢……へぇ〜｣



｢わたしの恋の話とか需要あらへんで｣




｢あるよ、俺が知りたい｣





恋の話とか、くすぐったくて苦手で、話を逸らすように誤魔化すように笑えば、小瀧くんは真剣な顔でそう言った。




｢俺、佐野さんのこともっと知りたいねん。……しげや流星よりも知ってたいねん｣








.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す