嘘からはじまるストーリー 3 (ページ8)

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side Ryohei

阿部「ごめん、遅くなって。」

今日はメンバー全員での雑誌撮影なんだけど、
俺は前の別仕事が少し押してしまって集合時間より10分ほど遅れてしまった。

いつもなら遅いよ～とか返ってくるはずなのに、
今日はそんな雰囲気じゃない。

マネ「阿部、日吉見てない…？」

阿部「日吉ですか？…見てないです。」

マネ「…何してんだ？」

阿部「まだ来てないんですか？」

岩本「来てないし、マネージャーさんとも俺らとも連絡つかない。」

佐久間「ひよが仕事遅れるなんて今まで無かったのに…」

阿部「一応俺も連絡してみる。」

他のメンバーの誰とも連絡がつかなくて、俺だけ繋がるなんて事ないだろうけど、とりあえず電話をかけてみた。

深澤「…どう？」

阿部「…ダメだ。」

電源が切れているか、電波の届かないところにいます
なんていう無機質なメッセージ。

スタッフ「あの、もうそろそろ撮影開始して良いですか？」

スタッフさんが俺らに声をかけに来た。

マネ「すみませんあと少しだけ待っていただけませんか？」

スタッフ「…10分なら…。」

マネ「ありがとうございます。」

10分か…。

目黒「今日の撮影って別日に出来ないやつですか？」

マネ「そうなんだよな…。」

宮舘「だからもしひよが来なかったら、9人で撮るしかない。」

マネ「…俺、ちょっと日吉の家見て来る。
みんなは10分して日吉が来なくてもそのまま撮影に入ってて。
もしかしたら連絡するかもしれないから、誰かしらはスマホ持ったままでいてくれるとありがたい。」

深澤「分かりました。俺持っときます。」

マネ「ありがとう。じゃあ、撮影終わるまでには戻ってくるから。」

そう言ってマネージャーさんは出て行った。

向井「…ただの寝坊やとええんやけど…。」

仕事に遅れる理由が"ただの寝坊"なのは最悪だけど、
何かあるよりは何倍もマシだ。

ラウ「10分で来るかな…。」

そんな願いも虚しく、日吉は来ないまま撮影は始まった。