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南棟の王子様。大陸の奇跡。高嶺の花のムンジュンフィ。
数多の異名を持つジュンは、この外見でいて誰に対しても優しくて性格まで申し分ないというパーフェクトな人。
懐いた人にはとことんパーソナルスペースを無視してくるし、一緒に遊ぼう!と言ってどんどん距離を詰めてくるところが彼の長所だろう。
ただ、元々人懐っこい性格なんだろうけど、人見知りは少々するみたいで。
ジュンをかっこいいかっこいいと遠巻きから騒いでいる女子に対しては、彼も少し眉を下げているような気がする。
「(そりゃ睨まれるよね...)」
前述した通り、ムンジュンフィという男は兎にも角にも規格外な人間なのだ。
その規格外な人間というものは、基本的に規格外同士で仲良くなる。類は友を呼ぶというかなんというか、高校生になってその言葉を身をもって感じるようになるなんて思ってもいなかったけど。
その規格外の友人...もとい、チョンウォヌという人間も端的に言えばとにかくやばい人だ。この場合のやばい、は完全に褒め言葉の意味で。
182cmというジュンにも劣らない長身。切れ長の目。どこか色香を含むような妖艶な雰囲気だったり、運動する時にだけ外す眼鏡だったり。噂では入試の点数もトップ層に食い込んでいたとかいなかったとか...規格外だ、なにもかも。
ジュンが南"高"の王子様ではなく、南"棟"の王子様と呼ばれるのも、この規格外に対抗出来るウォヌという規格外な人間がいるからだ。
南棟ではジュン、北棟ではウォヌ...私はよく知らないけど、もう既に二大巨頭として顔が知れ渡っているらしい。
「A!なんか先輩?が呼んでたけど」
もうこれで四度目だ、四度目。
ホシに悪気はないんだろうけど、思わず小さくため息をついてしまう。
「ん?どうした?」
「あ、いや...べつに...」
私がここまで目をつけられているのも、少なからず1年生の王子様が2人してバスケ部だっていう事実と関係しているんだろう。
ジョンハン先輩、クプス先輩、ジョシュア先輩...一人一人思い浮かべて、一人一人の人気の高さを想像する。
加えてジュンやウォヌに...あれ、スア達から聞いた話だと、ホシやウジもそこそこ人気だって言ってなかったけ...。
何はともあれ"バスケ部"というキラキラ部活が部員たちの印象を操作しているのか、部員たちの印象がバスケ部をキラキラ部活に仕立て上げてるのか。
私は少し、いや、かなり危険な道に足を踏み入れてしまったんだと、今更に気付いてしまった。
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作者名:key | 作成日時:2021年1月5日 15時