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「A、もしかして最近元気ない？」
「......え？」
「いや！気のせいだったらいいんだけど、こう、なんか......」
悲しそうな顔してる。
そう言って、ジュンは吊革を握りながら悲壮な表情を浮かべた。
ゆっくり、ゆっくり。電車の揺れと共にジュンの瞳も揺れ、まるで試しているかのようにその瞳孔が私を捉えた。
...ここ最近の私は、遠いクラスのジュンにまで心配されるくらい、調子が悪そうに見えているのか。
結局見つからなかった上履きは、新しく買い替えて今はソユン達の助けを借りながら他の場所を使っている。おかげで嫌がらせを受けることはなくなったけど。でも、怖くて自分の靴箱は開けられないままだ。
廊下ですれ違った2年生達には好奇な目で見られるし、私を見てヒソヒソと何かを喋ってるのも全てが気になって仕方ない。
溢れかえるような小さな小さなストレスが重なり合って、パンクしてしまいそうだった。
怖い。この先どうなるのか、もっと酷くなるのか。
強制的に辞めさせられるかもしれないとか、手出されるかもしれないとか。考えるのは全てマイナスなことばっかりで、大切な仲間達と過ごす幸せ一つ一つでさえ、放ったらかしにしてしまっている自分がいる。
「そうかな...？初めてのテストだし、不安になってるのかも」
私は、うまく笑えただろうか。
電車がジュンの最寄り駅に着くと、ゆっくりと停車して、それと共に彼の瞳も静止する。
「...そっか！A頑張り屋さんだし、心配しなくてもきっと大丈夫だよ」
「うん。ありがとう、」
ジュンは何も言わなかった。
2人を隔てるモノがゆっくりと閉まった時、初めて涙で視界がぼやけていった。
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作者名：key
| 作成日時：2021年1月5日 15時
