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私が先輩達に呼び出されたあの日、ホシが教室にスマホを忘れていったあの日。
あの日から段々と、私への嫌がらせは規模を増していった。
春が終わり、初夏が始まり、梅雨の時期がやって来る。
6月半ばに迫り来る中間テストに備え、部活動は1週間全面オフとなっていた。
「A〜」
「ごめん、おまたせ！」
私は部活がない日でもジュンと帰ってるが、練習がないと遅くまで残る必要がなくなるから、バスケ部のメンバーとも必然的に帰宅時間が一緒になる。
どうせなら、ということでテスト期間中はみんなで一緒に帰ることになったんだけど...
「頼む、この通りだウジ！！」
「無理だって」
「まだなんも言ってねぇよ」
ウジに頭を下げて懇願するホシと、それを冷ややかに見つめるウォヌ。ウジは小さくため息を付くと、「購買のパン奢れ」と一言。
「まじで！？奢ったら勉強教えてくれる！？」
おー、と緩く返事をするウジが本気かはどうかは知らないけど、ホシは大いに喜んでガッツポーズを決め込んだ。
「ウォヌ！ウジが俺に勉強教えてくれるって！！」
「聞こえてたわ」
あれ以来、以前までの不仲が嘘だったかのように、ホシとウジの距離は急速に縮まっている。
ニコニコ嬉しそうにしているホシを受け流したウォヌは、私の隣で歩いているジュンのところまでのっそりとやって来た。
「ジュナは勉強出来んの？」
「ん〜、少なくともホシよりはね」
「はぁ！？聞こえてるから！！」
じめじめとした曇り空を丸ごと吹き飛ばしてしまいそうなホシに、私の口角はずっと上がりっぱなしだった。
勉強が得意なウォヌ、ウジ。
本人は謙遜してるけど、ジュンだって留学する程だし頭悪いわけないよね。あ、でも英語は苦手だって言ってたけど。
「赤点取ったらどうしよう！？」
「補習頑張れ」
「ウォヌ...ちょっとは心配してくれよ...」
そうやってあーだこーだ言いながら駅に着くと、ホシウジコンビは約束通り駅前のマックに消えていった。
ホシはウォヌやジュンにも助けを求めていたけど、ウォヌは塾があるからパスで、ジュンもピアノの練習をすると言って断っていた。
ジュン、なんでも出来るとは思っていたけど...ピアノまで出来るなんてガチの王子様じゃん。
「こっちが早く来た」
「おー、またな」
ジュンと2人で上りの電車に飛び乗ると、ウォヌは手をヒラヒラさせて向かい側のホームに歩いていった。
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作者名：key
| 作成日時：2021年1月5日 15時
