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「あー!モヤモヤする」
「え?」
「ホシとウジだよ!また喧嘩してたよね?しかも試合中に!」
帰り道。方向が同じジュンと一緒に帰っていると、突然発作を起こしたかのように叫び出した。
ワーワー叫ぶ彼の言いたいことはわかるけど、まだここ電車だよ...?
しっ!と慌てて口を塞ぐと、やっと大人しくなってくれた。
「ホシは一旦落ち着いて欲しいし、ウジはもっとスピード感出して欲しい!」
そういえば、同じ部員としてこれまで他の1年生の意見を聞いていなかったことに気がついた。
「...他の1年生はどう思ってるの?」
「んー...みんな心配はしてるけど、やっぱりあの2人がダントツで上手いから..........」
「あー...そっか、」
今日の試合でも分かった通り、1年生として一番に試合に出させてもらえるのはやっぱりあの2人だ。
他の1年生はあれだけ実力のあるホシとウジに対して、文句を言う気にもなれないのだろう。
「...ホシね、ウジとプレーするの楽しみにしてたんだよ」
「そうなの?」
「うん。"アイツが仲間になってくれるなんてめちゃくちゃ心強くね?"なんて言ってたのに...」
現実はどうも上手くいかないらしい。
『うわ!!想像したら楽しくなってきた!!!』
2人が喧嘩する度に思い出すのは、あの日ワクワクと夢を馳せていたホシの姿で。
1マネージャーとして、私が彼らにできることは何も無いのだろうか。
この前ウォヌとしおりを綴じたばっかりだから、時期的にそろそろ文化祭がやってくるのは分かっていたんだけど。
気が付いたらもう5月。
7月の半ばに行われる文化祭に向けて、役職決めや準備が始まるらしい。
お化け屋敷、カフェ、アトラクション...。
私達の学校は3年生が劇、2年生と1年生が模擬店やお化け屋敷などをするように決まっている。
黒板に書かれていく候補達をボーッと眺めていると、前の席のホシがゆっくりと振り返ってきた。
「何にする?」
「んー、まだ決めてないけどカフェとかかな。ホシは?」
「俺はお化け屋敷一択!」
話を聞くところによるとお化け役がやりたいらしい。
あるあるだと思うんだけど、男子ってほんとお化け屋敷好きだよね。男子主体のクラスって大体お化け屋敷になる気がする。
それは男子軍が活発なこのクラスも例外ではなかったようで、私の願い虚しくクラスではお化け屋敷をすることに決まった。
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作者名:key | 作成日時:2021年1月5日 15時