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このままじゃ埒が明かないと思ったのか、相手は胸倉を掴むテヒョンさんの手を払い除けて私を鋭く睨んだ。
「君との契約は解除させて頂く。もちろん、事務所にも報告させてもらう。」
拒んだらこうなることは薄々分かっていた。
みなさんが助けに来てくれた事は嬉しいけど、私は最低なことにその先の未来を案じていた。
せっかく、ここまで頑張ってきたのに。
あんなに毎日練習して...身体を壊しても、ぶっ倒れても、死にそうになってまで頑張ってきた夢が、ガラガラと音を立てて崩れていった。
...デビュー、なかったことになっちゃうんだ。
「上玉だって聞いてたから期待してたのに、君にはガッカリだ。...それに、”作り物”はどう足掻いても”天然”には勝てない。
メディアにでも情報を売ってみたらどうだ?どうせ揉み消すと思うがな。ハッ、馬鹿な女だ。」
相手はそれだけ言って去っていった。
みなさんが助けに来てくれた嬉しさと、一方でデビューが白紙になったことへの深い悲しみ、事務所や相手への憎しみ、色んなことがぐるぐる頭の中で渦になって、思考が全くまとまらない。
「...っ、」
ダメだ、もう自分が何をすればいいのか分からない。
ただ泣くことしか出来ない。
今すぐにでもありがとうを言いたいのに、デビューが白紙になったことであまりにも大きなショックが与えられて、言葉を発することすら出来ない。
「...ぁ、ぅっ、ひ。」
広いフロアに私の泣き声だけが響き渡った。
みなさんを困らせてしまっていることは頭では理解してるのに、拭う涙は全然止まってくれない。
「ねぇ、Aちゃん。」
呼びかけられて、目を強く擦って顔を上げると、そこには優しく微笑むジンさんがいた。
「...Big Hit、来ない?」
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てこゆの(プロフ) - もえさん» わー!!嬉しいお言葉ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2020年6月13日 21時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
もえ - 更新ありがとうございます!!こんなにハマった小説はじめてです!!!これからも応援しています! (2020年6月13日 17時) (レス) id: 43897485ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年6月9日 19時