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オーディションの結果が返ってきてから数日間、私は自分の部屋から出ることなくひたすら毛布にくるまって泣いていた。
言葉も通じない初めての世界に勢いだけで飛び込んで、出来る限りのことは全部必死にやった。
それなのに、圧倒的にビジュアルと練習量がどうしても足りない。
今年までにどうにか練習生にならなきゃいけないのに、どうしようもできない。
冬のオーディションが終わってしまったら、春までに残された道はほぼ残っていなくて。
受かる確率が0.何とかパーセントぐらいしかない同系列の事務所の毎週オーディションを地道に受け続けるか、持ち込みで片っ端から自分をプロデュースするか、の2択。
こうして布団にくるまってる時間があったら練習した方がよっぽどいいのに、どうにも気力がプツリと切れてしまったようで、体を起こす気にはなれなかった。
絶望、この2文字に尽きる。
自分があまりにも惨めで虚しかった。悔しくて、ひたすら泣き続けた。泣いたところでオーディションに受かる訳でもないし、アイドルになれる訳じゃないのに。
もっと私が可愛かったら。
もっと私のスタイルが良かったら。
もっと私が魅力的だったら。
死にたかった。
死んで、新しい自分になりたかった。
こんな私じゃなかったら、もっと華やかな未来が待っていたかもしれないのに。
もっと早く夢を追いかけていたら。
もっと早く留学を決めていたら。
もっと早くバンタンに出会っていたら。
私には、時間がない。
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てこゆの(プロフ) - ?めぃろ?さん» コメントありがとうございます!!(TT)お褒めの言葉嬉しいです!私も現実感を意識して作った物語なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!! (2021年4月26日 17時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
?めぃろ?(プロフ) - アイドル系の小説って、夢主が完璧すぎてどうしても引っかかってたんですけど、こういう現実的な小説を求めてたので、すごい嬉しいです。 (2021年4月26日 16時) (レス) id: a284f3be6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年5月12日 19時