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オーディションの合否が返ってきた。
結果から言うと、全部落ちた。3つとも全部だ。
何がダメだったかなんて、本当は自分が一番よくわかってるはずだった。
素人感が抜けない穴だらけのダンスに、浮腫んだ手足。身長は高いけど、顔が大きいから全体のバランスも悪くて、決してスタイルが良いとは言い難い。
加えてぱっとしない、いかにもって感じののっぺりとした日本人顔。
母に産んでもらったこの自分の体がこんなにも憎いのは初めてだった。恨んではいけない、とは心の中ではちゃんと分かってるはずなのに。
あの人みたいに目が大きかったら、あの人みたいに鼻筋が綺麗だったら。あの人みたいに手足が長くて、顔が小さかったら。
自分にはない強みを持ったアイドルが憎くて仕方なかった。
こんなに頑張ってるのに、どうして。
時間が足りない。こんなに寝る間を惜しんで練習に明け暮れても、スタートが遅すぎた。
努力だけでどうにもならないことだってあるんだと身をもって感じたのは、このときが18年間生きてきて初めてだった。
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てこゆの(プロフ) - ?めぃろ?さん» コメントありがとうございます!!(TT)お褒めの言葉嬉しいです!私も現実感を意識して作った物語なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!! (2021年4月26日 17時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
?めぃろ?(プロフ) - アイドル系の小説って、夢主が完璧すぎてどうしても引っかかってたんですけど、こういう現実的な小説を求めてたので、すごい嬉しいです。 (2021年4月26日 16時) (レス) id: a284f3be6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年5月12日 19時