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練習開始から2時間くらいが経った頃だろうか。
一旦休憩時間となり、ヘトヘトになった私達は崩れるように床に倒れ込んだ。
「あー、きちぃ。」
シュガさんはそう言って壁に体を預けた。
私も本当はそうしたかったんだけど、生憎ダンスが全然上手くいってないから練習しなきゃいけない。
次のパートからうろ覚えだし全くついていけなくなる可能性もあるのに、こんなところで座ってる暇はない。
...そう、心ではわかっているのに。
みんなが脱力しているこの空間で私一人が踊り出すことなんて出来なかった。
単に勇気がなかっただけなんだけど、自分の下手くそなダンスが人に見られるのが嫌で仕方なくて...そうやって休憩終わり、予習もせずに踊り出したら案の定次からのパートはボロボロだった。
みんな何も言わなかったけど多分呆れてる。
テレビにも出るような練習生が、どうしてこんなに踊れてないのか。なんでこんなに下手くそなんだ。
ありもしないような幻聴がどんどん聴こえてきて、どんどん頭がおかしくなって、後半は最悪な状態だった。
早くここから逃げ出したい、その一心だった。
午前中のダンスレッスンが終わり、午後からは歌合わせが始まる。
その前にもう一度復習をしておきたかった。
私は馬鹿だから、要領が悪いから、何回も何回も練習しないと頭に入ってこない。
でもこの和やかな練習室でいきなり踊り出すことなんてやっぱり出来なかったから、御手洗に行くふりをしてフロントから他の練習室の鍵を借りた。
幸い今日はビデオが回っているからか他の練習生の姿は見えなくて、人気のない1番小さい練習室に駆け込む。
自分の姿を誰にも見られたくなかった。
情けない話、自分のダンスを見てもらいたくない。
アイドルを目指してるくせに何言ってんだって感じなんだけど、こんなに下手くそなダンスを見られるくらいなら死んだ方がマシだ。
普段事務所で踊る時はこんなこと思ったことないのに、こうとレベルが高い場所に来てしまうと自分が嫌で嫌でたまらなくなる。
なんで私はあの子達みたいに踊れないんだ。
なんでこんなに下手くそなんだ。
ってひたすら自己嫌悪。
消えたくなるくらい悲しかった。
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てこゆの(プロフ) - ?めぃろ?さん» コメントありがとうございます!!(TT)お褒めの言葉嬉しいです!私も現実感を意識して作った物語なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!! (2021年4月26日 17時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
?めぃろ?(プロフ) - アイドル系の小説って、夢主が完璧すぎてどうしても引っかかってたんですけど、こういう現実的な小説を求めてたので、すごい嬉しいです。 (2021年4月26日 16時) (レス) id: a284f3be6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年5月12日 19時