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「おはようございます!」
と大きな声で挨拶をして練習室のドアを開けるも、そこには誰も居なかった。
なんだ、1番乗りか。
半分がビッヒだから、といってこのグループの練習はビッヒの練習生で行われることになった。
神聖な場所に緊張しつつ小さく息を吐いて練習着に着替え、買ったばっかりの真新しい靴に足を通した。
あの日以降特番を見ていたのか、更に嫉妬が高まった先輩達によって嫌がらせが酷くなっていた。
この靴も、一昨日のレッスン以降行方不明になってしまっていた使い慣れた靴の代替だ。
今日はあの特番のレッスン日だし、カメラも入るし履きなれた靴で踊りたかったのに。
と、今更悔やんでもどうにもならないし、第一私は靴が変わっただけでパフォーマンスが落ちるようなお偉い身分なのかと思って、嫌なことを考えるのをやめた。
「あ、おはよう〜!」
慣れた手付きで練習生に入ってくるのはBTSの4人。
宿舎からみんなで来たのだろうか、朝イチでも顔が良い。
たったの三日ぶりくらいだけどやっぱり何回見ても慣れるはずがなくて、ぎこちなく挨拶を返す。
「おはようございます!」
まだ私一人だし、気まずいったらありゃしない。
わちゃわちゃと盛り上がりながら用意をする4人と遠くの位置で1人何をしたらいいのかわからず彷徨う私。
「ね!君もそう思うよね!」
そんな私を助けようとしてくれたのか、はたまた何も考えていなかったのか、テヒョンさんがその輪の中から急に私に声をかけてきた。
なんの話をしていたのか全然聞いてなかったけどとりあえずはい!とだけ勢いよく返事をすると、そんな私を見てテヒョンさんは四角い口で大きく笑った。
「全然話聞いてなかったじゃん!」
彼のこの行動に善意があったのかは分からないけど、そのおかげで私も話にお邪魔させてもらうことができた。
続けてシュガさんもこっち来ていいよ、と手招きしてくれる。
あまりにも優しい先輩達に、事務所の先輩と姿が重なって涙が出てきそうになった。
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てこゆの(プロフ) - ?めぃろ?さん» コメントありがとうございます!!(TT)お褒めの言葉嬉しいです!私も現実感を意識して作った物語なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!! (2021年4月26日 17時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
?めぃろ?(プロフ) - アイドル系の小説って、夢主が完璧すぎてどうしても引っかかってたんですけど、こういう現実的な小説を求めてたので、すごい嬉しいです。 (2021年4月26日 16時) (レス) id: a284f3be6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年5月12日 19時