ぼくのともだち。 (ページ10)

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先生とぼく。ページ10

伊野尾side

「ふわぁぁ～あ」

高「伊野尾先生寝不足ですか？(笑)」

「いや、ちょっと侑李のことで...」

小さい子の点滴の補助に行っていた高木がナースステーションに戻ってきた。

パソコンのカルテを見ながら思わずため息が漏れていたみたい。

俺が侑李と初めて会ったとき。

体はとても小さく、アザだらけ。言い方は悪いけど、捨てられた子犬みたいだった。

その時に

「助けてみせる」

なんて言ったけど、実際は治療があまり上手くいっていない。

さっきやったカテーテル検査でも前回より数値が悪くなっていた。

そろそろ移植について真剣に考えていかないといけないのか...。

八「侑李の検査結果だよね？これ。」

伊「うわっ、びっくりした...。」

俺のデスクの向かいの席から光先生がひょっこり顔をだしてきた。

光先生はいつも思わぬとこから出てくる。そこが愛される秘訣なのかもしれないけどね(笑)

八「うーん、確かにあんま良くないみたいね。」

「うん...。どうすればいいんだろう...。」

やれることは全てやっているつもりだ。だけど不安になってしまう。俺の方針はあっているのだろうか。

八「でもさ、伊野尾先生が落ち込んでいたら侑李はもっと不安になっちゃうよ。」

そんな俺を見かねた光先生が俺の目を見てそう言ってきた。

そうだよね。そうだ、うん。

八「さ、もうお昼の時間だから。3人の様子見に行こう。」

「...うん！」

俺は強くなければいけない。誰よりも。