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侑李side
ピッピッピッ――
僕が目を覚めしたのは辺りが暗くなってからだった。目を開けたときには、もう感じていた。
いつもの所じゃない。
点滴がつなげられている。いつもは針しか刺さっていなかった。心電図がつけられている。いつもは何もなかったのに。
不安で満たされるなか、のほほんとした雰囲気の男の人が部屋に入ってきた。
伊「侑李くん、目覚めたね。こんにちは。あ、もう今の時間はこんばんは、か(笑)。俺は伊野尾慧。ここは、飛翔病院っていう所の小児科だよ。今日のこと、覚えてる?」
笑顔で話しかけてくる。何だか無性にイライラした。なんでこんな僕を見て笑うんだろう。
だから、開口一番に出た言葉は...
「なんでそのままにしてくれなかったの...」
伊「えっ?」
「別に助けてくれなくても良かったのに。また元の場所に戻ったら殺されちゃうっ...!」
もうほとんど何も考えずに言っていたんだよね。とにかく大変だと思って。
伊「侑李くん、手、見せて。」
さっきの表情とは裏腹に、真剣な顔をして手を出す男。僕はその雰囲気に気圧されて恐る恐る手を出した。
「何...」
左手には先生から受けていた暴力によるアザが...。
でも、その男は叩かない。
むしろ、傷を撫でながらこう言ったんだよ。
伊「いい?侑李くん。僕が君を守ってあげるから。何も心配しなくていいの。僕が侑李くんを救ってあげるから。」
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作者名:きの | 作成日時:2022年1月31日 19時