妖怪ではなく元人間

引き分け ページ17

松岡君の髪は自在に動く。
歴代の鬼太郎の中では一番髪を扱うのが上手だ。
掴まれたらまぁ間違いなく骨と内臓がおさらばする。
追ってくる髪の毛を逃げて、避けて。掴まれかけたら隕石の力で弾く。
でもやり続けてると心臓のあたりがキリキリする。
左目の視界がぼやける。
松「そろそろ限界ですよね。」
高「(…なんかのラスボスみたいだなぁ…。)」
高山が遠い目をして見学している。
貴「う〜、でも負けるのも癪…っ。」
今まで(主に4期の頃から)閉じていた右目を開く。
特に閉じていた理由はないのだが右目を開けると何故か松岡君がすごく動揺するので。
…君何も悪くないんだけどなぁ。
松「……え。」
ほら、動揺してる。
彼らみたいな怪物的特徴は心臓以外殆ど何もないけれど。
ただほんの少しだけ。
命を賭ける代償が安いだけ。
動きが一瞬止まった髪の毛をすり抜けて、
走りながら前に一回転。
松岡君の肩に両膝を引っ掛けて松岡君を後ろに倒した。
松「うっ…。」
貴「……あーあ。ここまでやって、引き分けかぁ。」
ぽすんと松岡君の足に座って片手を地面につきながら頭を後ろに倒す。
背中側に髪の毛が何本も鋭く尖りながら狙っていたので松岡君はただでは転ばない。
松「引き分け…主人公さん、その右目開眼できたんですね。」
貴「前からできるよ？面倒だから開かなかっただけで。」
シパシパと両目で瞬きするが、またすぐに右目だけを閉じる。
貴「…ぁ……………ちょっと、む…り…。」
ぐるんと白目を剥いて背中側に倒れた。
原因は出血多量。
戸「それにしてもめちゃくちゃしたな。あちこちボコボコだ。」
松「彼女が起きる前に地形直しとかないと…。野沢さんに怒られる。」
といって松岡君が地形を見るともう半分ほど直っている。
野「あ、先にやってるよ〜。」
34「野沢さん流石早いっ！」
野『家の近所だし景観に悪いからナ。ほら、高山も手伝ってくれ。』
高「えー…。じゃあ髪の毛でも回収しておきますねー。」
周囲の木々には松岡君が伸ばした髪の毛の切れ端がところどころに残っている。
野「戸田君！悪いんだけどこの辺の抉れた地面に大岩でも埋めてくれないかな。土が足りなくなっちゃう。」
戸「分かりました！」
松「危ない石の破片は遠くに捨ててきますね。」
野『うん。よろしく。』





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