通常性と異常性の両立した世界 (ページ8)

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校内の案内ページ8

シ「ノーマル、校内を案内するから大事なものは部屋に置いて準備して。」
貴「わ、わかった。」
1000円札を一枚だけがまぐちに入れてバタバタと忙しなく玄関口に急ぐ。
シ「行くよ。間違っても僕から離れないこと。死にたくなかったらね。」
貴「死にたくないです…。」
シ「なら死に物狂いで僕を見失わない事だね。ここには猟奇殺人犯も居るし、なにかと無法地帯だから。僕らの寮の人以外から貰ったものは食べたり使ったりしないでね。」
貴「分かった。」
シ「ならよし、それでは僕らが通う小中高大一貫の教育機関、【Abnormal Person Educational Institution Vocational School (異常者教育機関専門学校)】、通称【APEIVS】にようこそ、ノーマル。」
貴「アペイブス？」
シュウはチッチッチッと指を振り、
シ「アペイヴスだよ。人によってはアピィヴスとかアペィヴスとか読み方は様々だけどね。」
貴「アペイヴス… Abnormal Person Educational Institution Vocational School って日本語でなんて言うんですか？」
シ「異常者教育機関専門学校だよ。順番にアペイヴスの説明をするよ。まず玄関口の門から正面に見えてるあの大きな建物が校舎になるよ。僕ら生徒が勤勉を学ぶ学舎が本校舎。たまーに反抗するヤンキーとかは木造の旧校舎には入り浸ってるけど夏になったら本校舎に逃げてくる。冬でも逃げてくるね。」
貴「どうして？」
シ「夏は猛暑で、冬は極寒だから空調設備のない旧校舎は生活しづらいんだ。だからだよ。」
貴「詳しいけどそんなに有名なの？」
シ「昔は旧校舎で勉強してたんだ。本校舎が建てられたのは10年前だよ。」
貴「10年！」
シ「僕は発症するのが早かったからね。僕は6歳の頃にここに連れてこられたんだ。1年だけだったけどものすごく辛かった事は覚えてる。夏は汗が止まらなくて、冬は凍えて指が痛かったよ。」
貴「じゃあ今は結構改善されてるんだ？」
シ「うん。かなり快適になったよ。」
シュウは本校舎の前まで歩いて行く。
シ「それで本校舎から右に行くと運動場、左に行くと体育館があるよ。プールは運動場と本校舎の間にあるから夏場には泳げるよ。溺れさせようとする人や水死させようとする人と感電させようとする人がいるから気をつけてね。」
貴「物騒だ…。」
シ「飼育小屋もあるよ。場所は体育館の隣ね。でも飼ってる動物は基本的に屠殺禁止、かつ飼育されてるのは猟犬隊が連れてる猟犬達だから触ったら手首まで持ってかれるからね。」
貴「気をつける…。」

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