Unknownに来たPlayerは己の罪を贖罪する

臆病な元浄化者 ページ14

通路の最奥にはセネカの姿はなく、代わりに足のない半透明のバッターが立ち尽くしていた。
ザ「あー、……バッター？」
彼は応えず、悲しげに俯いている。
ザ「いや、そんなはずはない、アンタはゾーンと共に命を失ったんだ。現に俺はそれを見ていた。アンタは実在のものじゃない。死んだんだよ。」
幽霊を否定するザッカリーにようやく、バッターは声を出した。
バ「…お……お…前…は…、お前…の…人…性…は…美しかったのか…？」
慌てて外したままのヘッドフォンをつけると、戦闘BGMであるペッパーステーキが流れ出す。
暗い中、なんとか闘うために剣を出す。
バ「世界は消えたはずだ、終わったはずなんだ！スイッチは全てOFFにしたんだ！」
ザ「狂っちまってる…うん、人形師(プレイヤー)さんよ、殴り合いでもすりゃあ目が覚めるかもしれんな。」
貴「…バッター…。」
その1にはアビリティが存在しない為、とりあえず切るしかない。
ザッカリーよりもステータスが高い為、多少であれば無茶ができる。何をするのかだって？彼のアビリティを全て受けきる事ぐらいはできるだろうさ。
怒りのホームランが体に当たる。
貴「ッ。」
決して早いわけではない。でも、受け流すことより、あえてその攻撃には当たる事にした。贖罪を兼ねて、あえて。
戦闘もしばらくすれば終わり、目の前には写真が一枚光の中から現れた。ドロップアイテムは【ザッカリーとの写真】。
ペッパーステーキが止まる。
ザ「バッター！聞いてくれ！」
バ「終わったはずだ…、俺はスイッチを切った、それで全部終わるはずなのに…。」
ザ「なぜスイッチを切ったのに世界が残っているのか、俺には少し心当たりがある。ゲームは確かに終わったはずだった。だが今こうして続いている。俺は"セネカ"と名乗る存在に遭遇したんだ。」
バ「セネカ？」
ようやく、今まさにバッターはこちらの話に耳を貸した。
ザ「そのセネカにとって今の状況は、ガーディアンの座を乗っ取るまたとないチャンスなんだ。ゾーン1のガーディアンのな！あいつはその1と俺を殺そうとしてきたんだ。」
バ「その1…彼女が戻ってきたのか？」
一瞬ザッカリーから物凄い視線を感じた気がする。お前女だったの！？って言う。
ザ「そうだ、だが今は俺に同行してくれてる(物理的に)、アンタが生きた存在ではないという現状も、彼女は見ている。俺はゾーンを元の姿に戻したいんだ。活気に満ちた、自由な頃の姿に。もちろん、ゾーンはけっして友好的ではない…それでも、やってみる価値はある。」




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