キセキの世代には隠れた天才がいました (ページ9)

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つくづく呆れて一家は揃うページ9

とある試合の後、3年になった零は非常にイライラしながら帰宅した。
春「兄さま、おかえりなさい。…どうかしましたか？」
イラつきがつい態度に出てしまったようで、カバンが無造作に床に転がり、ゴロンと床に零も寝転がった。
顔は見えず、右手で顔が隠れている。
貴「… 帝国、全中三連覇した。」
春樹は嬉しそうに、
春「おめでとうございます！兄さま！」
だが、兄は返事を返さない。
春「…嬉しくないのですか？あれほど楽しみにしていらっしゃったのに…。」
貴「………戦。」
春「え？」
貴「帝国、全中三連覇の決勝ですら点取り合戦しやがった…！」
悔しそうに、勝ったのに怒っている。
嬉しくないのだ。
正々堂々じゃなく、遊びで。
相手に敬意すら示さずに圧勝したのだ。
春「……！」
春樹は声も出なかった。
キセキの世代の近くで共にバスケットをしていた兄がバスケットでここまで怒ったのは初めてだったから。
バタバタと玄関から走る足音が聞こえてきて、一家が全員揃ったのだ。
貴「…姉さん！？兄さん！？どうして来たんだ！？」
突然の来客に驚く零。
冬「ごめんなさい！兄さんにサプライズしたかったんだけど…でも今はそれどころじゃないよ！あの全中の試合は何！？ふざけてるよね！？」
冬鬼が信じられないと言いたげに声を荒げる。
北「俺たちもあの試合を見にきてたんだ、…酷いな。相手チームなんか絶望してたぞ。」
北馬(ホクバ)が辛そうな顔でそう言うと、その一つ下の弟の南音(ナオ)が、
南「わざわざオウンゴールしてまで点を揃えるとか常人じゃ無理だぜ。狙ってできる奴らは怪物だな。」
西「南音！」
南「だってそうじゃねぇか！まともな思考をしてないのは確かだぜ！？なぁ、東明姉ちゃん！」
東明(トアケ)と呼ばれた長女は答える。
東「そうね、少なくともスポーツマンシップに則っていない事だけは確かよ、それが答えにならないかしら？西瓜。」
西瓜(スイカ)は納得はいっていない、と言いたげだが口はつぐんだ。
夏「そーいや、大会終わっちまったんだから次はお兄ちゃん何処の高校行くんだ？」
貴「…とりあえず心が変わっちゃった人たちのところはやだなぁ。」
西「…零わさ、バスケ、まだ好き？」
貴「………当たり前でしょ、そのために強豪校入ったんだから。」
南「…ならよし！バスケ嫌いになったら別の趣味でも探せばいーしな！」
春夏秋冬「それは駄目！！」
南「お前ら兄ちゃんに厳しすぎない…？」

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