【文スト】探偵社員(仮)

第2話 頑張り屋さん ページ4

貴方side


「で、その書類がどうかしたの？
A」

『いえ、少々気になったもので』

あまりこう言う資料は見たくはない。
裏切り者など、裏社会には付き物だが、ありきたり過ぎて好ましいものではなかった


「ふ〜ん、」


興味がなさそうに返事をし、私にチョコ飴を渡して席に戻っていった。

ふむ、と思い飴の包み紙を開けて口に入れる。
瞬間チョコの甘さが口の中に広がり一瞬にしてその香りが自身を包み込んだ。

しばらく飴を舐めながら書類整理をし、割れそうになった為、飴を噛むと簡単に割れた。
瞬間、どろっと中に入っていたチョコが溢れ出し、口の中ではチョコの海ができている。


とても美味しかった。


「そんなに美味しいんですか？その飴」

そう言って此方を覗いてきたのは最近入ったばかりの青年。

中島敦くん。
異能名《月下獣》

虎になれるという素晴らしい異能。
モフれる、もふれる

『はい、とても美味しかったです。
すみません、もう一つなくて』

「あ、構いませんよ！
此方こそすみません！」

そう言って遠慮がちにいう敦くん

『いえ、此方こそすみません』

やばい、無限謝りタイムが始まったぞ、と思ったのもつかの間。

私の頭の上に誰かの手が載っていることに気づいた。

「A、本当にいつもすまん。
俺の書類までやってくれていたのだな…」

『いえ、構いませんよ、みなさん疲れているみたいですし、あ、お茶でも一杯どうですか？』



私は今日も平和に過ごす。



例え、黒い影がゆらゆら揺れていても。

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