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「A、ちょっといいか?」


『はい。なんですか?』



買い物袋をさげた伏見さんが話しかけてきた。
私の中で彼は買い物袋が似合う男性ランキング1位だ。



「夕飯作るのを手伝って欲しいんだが、今忙しそうだな…」



私の膝の上に乗る御影さんの顔を見て、伏見さんは困ったように笑った。



『いえ大丈夫ですよ。無理矢理どかしますので。』


「んぅ…」



私が無理矢理頭を下ろしたので、嫌そうな顔をしながら少しうなる御影さん。



『何を手伝えばいいですか?』


「じゃあ野菜を切るのを頼む。」


『はい。』



玉ねぎに奮闘する私の横で、手馴れた様子で肉を切る伏見さん。
そんな彼に少し見蕩れていると、扉から元気な声が聞こえてきた。



「臣クンただいま!あっ、Aチャンもいるッス!何作ってるの?」


「おかえり太一。今日はオムライスだ。」


「やったー!臣クンのオムライス大好きッス!」



私の幻覚だろうか。
犬の耳としっぽが付いているように見える。



『いてっ、』


「!包丁で切っちゃったのか。」


「わわっ!大丈夫ッスか!?」



太一くんの犬っぽさに気を取られてしまい、指を包丁で切ってしまった。
1日に2箇所も切り傷を作ってしまうとは、あまりにも不注意過ぎるな。



「A、ちょっとごめんな。」


『へ?』



一言謝ると、伏見さんは私の指を咥えた。


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作者名:りおた。 | 作成日時:2020年1月31日 18時

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