現代適応型吸血鬼【A3!】 (ページ15)

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森の中を歩き始めて1時間くらいはたっただろうか。
目の前にはやっぱりあの屋敷。

『これで戻ってきたのは11回目か…』

この扉を開けてすみません森から出られないです、といえば恐らくあの人達はまた泊めてくれるだろう。
本音を言えばその優しさにすがりたい。
しかし、さすがにこれ以上迷惑はかけたくない。

『もう一回歩いてみるか…』

「あれ、入んないの？」

『うわっ、』

知らぬ間に私の背後に茅ヶ崎さんが立っていた。
この光景、昨日も見た気がするのは気のせいだろうか。

『私は今から帰るところなので。お仕事お疲れ様です、じゃ。』

「もう一回出ようとしたとこでまたここに戻ってくるだけだと思うけど。」

『…ずっと見てたんですか？』

「2周分しか見てないよ。まあその様子だと10周はしてそうだけど。」

2周も黙って見てたのかこの人。
それならもう少し早く話しかけて欲しかった。

「どうせこれ以上歩いても出られないんだから泊まればいいのに。」

『ただでさえ昨日迷惑かけたのにこれ以上居座る訳には…』

「迷惑だと思ってたら昨日の時点で野宿させてるっつうの。ここは大人を頼りなさい。」

『…じゃあお言葉に甘えて。』

大人はこういう余裕があるから狡いんだ。
オマケにこの人は顔がいいから更に逆らえない。

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『ていうか茅ヶ崎さん会社終わるの早くないですか？まだ14時ですよ。』

「……たまたま早上がりだったんだよ。」

『…後で卯木さんに怒られても知りませんよ。』

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