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「…え？」
両手を広げてみると
確かに
袖からは指先しか出ていないほどぶかぶかで
首元からはキャミソールの肩ひもが見えていた
ぐるぐると頭を巡らせ
お風呂から上がった時のことを思い出す
今日は少し寒くて
乾燥機からとりあえず出しただけの洗濯物の山から
1枚適当に取り出して急いで着た
私と辰哉の部屋着は似たようなのが多い
「わざと？なに、もしかして煽ってる？」
「えっ、ちがっ…」
「ふーん…」
私の言う”違う”が本当なのか
それを探るように目を細めて私を見るから
わざとじゃない、間違えたの
そうちゃんと言おうと思ったのに
辰哉がパツパツのトレーナーを脱いだから
私はその言葉を飲み込んでしまった
強い力で両腕を掴まれ、息が止まる
「バンザイして」
「…しない」
「服交換すんの」
「自分で脱ぐからいい」
掴まれた腕を離してと言わんばかりに
ぶんぶん振るけどびくともしない
どうやら彼は、私が煽ったのだと
思ってしまったみたいだ
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作者名：Hoshi | 作成日時：2022年3月15日 17時
