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テレビから流れ始めたゲームミュージック
口ずさめるほど聴いているその音楽をBGMに
お風呂のスイッチを入れて
湯船を沸かしている間
テーブルに置き去りになった辰哉のお皿を片付ける
本当は自分でシンクまで運んで欲しいと
もうずっと思っているけれど
“食べ終わった食器は片付けてね”
なんて
同棲してから3年間、
家事全般をしている私がそんなことを言ったら
恋人でも奥さんでもなく
お母さんみたいな存在になってしまいそうで
怖くて言えなかった
“まもなく、お風呂が沸きます”
そう知らせるアナウンスにかぶる勢いで
「A先入っていいよ」
そうゲーム画面から目を離さずに言ったから
「ん、わかった」
と二つ返事で脱衣所へ向かう
もうゲームの音は聞こえないはずなのに
空耳みたいに頭の中で繰り返されるBGMがうるさく感じて
振り切るように急いで服を脱いだ
お風呂の扉を開けると同時に
ふわぁと広がる湯気
そこへ
辰哉の収集癖が炸裂した入浴剤コーナーから
適当に選んだのを１つ投げ入れた
辰哉が朝も夜も絶対湯船に入るタイプなのに対して
私はシャワーだけでも平気なタイプ
奥に沈んだ入浴剤がしゅわぁと音を立てて
溶けていくのを見ながら
あったかいうちに辰哉が入らないのは
もったいないなぁ、と思った
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作者名：Hoshi | 作成日時：2022年3月15日 17時
