*11* tatsuya.side ページ11
…眩しい
カーテンから差し込む陽が強くて目が覚めた
目を細めて
ぼやけた視界にピントを合わせる
時計は12時前を示していた
隣のAもぐっすりで
俺の腕の中で小さく丸まっている
気持ちよさそうなその寝顔は
無防備にぽっかり口を開けていて
それがいつ見てもかわいい
少し汗ばんで束っぽくなった髪が
顔にかかってるのがかゆいのか
眠ったまま退けようとしたけど上手くできず
「んん…」
と眉を寄せたので耳にかけてやる
心の中で「おはよ」と声をかけ
そうっとベットから降りた
昨夜放り投げたままの形で残っている服たちを拾い
そろりそろりと風呂へ向かう
起こさないように、
音を立てないようにする俺の身のこなしは
この道のプロかよってくらい上手くて
その証拠に一度もAが起きたことはない
随分遅れた朝風呂から上がると
キッチンから物音がしていて
「もう昼だし、即席ラーメンでも食べよっか」
ラーメンの袋を2つ、両手に持ってヒラヒラさせた
「いいねぇ」
即席ラーメンですらAの手にかかると
自分で作っていたのと同じ手順を踏んでるはずが
味が濃くなってうまい
食べる前からその味が口いっぱいに広がって
喉がなった
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作者名:Hoshi | 作成日時:2022年3月15日 17時