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＊1＊ tatsuya.side ページ1
ソファに座りながらゲームに没頭
頭の後ろの方では
何かを焼く音、包丁の切る音、
水の流れる音、冷蔵庫を開ける音…
忙しなく次から次へと聞こえてくる
いつものようにAが料理をしていて
徐々に良い匂いが漂ってくる
それが部屋いっぱいに広がってきたころ
同時にこちらのゲームも終盤を迎えて
苦戦していた敵が
“ぐおおおおお”
とうなりながら崩れ落ちるように倒れた
「辰哉っ！ご飯できたよ！」
「おぉ、良いタイミング」
画面には勝利を祝うアニメーションが流れていたが
ボタンを連打してスキップをすると
手早くセーブをした
下がっていたメガネを直しながら
ダイニングテーブルへ向かう
かわいらしい食器に
綺麗に盛り付けられた料理、
色違いの箸、お茶が並々と注がれたコップ
「今日もうまそ〜」
3年前、一緒に住み始めた頃
料理できるかな、と心配していたAだったが
死ぬほど美味いのを毎日作るもんだから
俺は少し太った
「辰哉がそんな美味しそうに食べてくれるなら
作りがいがあるね」
向かいの席でそう言うAは
昔も今も変わらない笑顔をしていた
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作者名：Hoshi | 作成日時：2022年3月15日 17時
