検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:43,806 hit

*13* ページ13

沸騰する鍋の

膨らんでは弾ける泡をただ見つめながら

昨夜のことを思い出していた




まだお互いの熱が体に残ったまま

向かい合って横になる


足を絡めると

細いくせに男らしいその腕で

ぎゅっと抱きしめられ

汗で少しベタついた肌がぴったりくっつく



「あー落ち着くわ、なんか、安心する」

掠れた声で呟くと

「俺、一生このまんまでいいかも」

へらりと笑って目を閉じた





“一生”


あのとき辰哉の言ったこの言葉には

そこまでの深い意味はないはずだ


…だけれど



何もつけていないピアスホールに触れる

ずっと空いたままで虚しい



私は気づいてしまった


これから先も辰哉の隣にいる私を

想像できないことを



ガスを切った

ぐつぐつと無数に現れていた泡が

徐々に静まり返っていく


いつもの器を2つ並べて

そこにラーメンをうつす


辰哉好みの濃いスープがはねて

Tシャツにシミを作った



…私ってこんな派手な柄、

好きだったっけ


表面だけをティッシュで軽く拭いて

残ったスープの色は見ないふりをした



熱々の器を辰哉の元へ運ぶ


「お待たせ」

「うまそ〜」


私も器を運んでそのまま席に着く


湯気でメガネを曇らせた辰哉が

手を合わせるのを見ながら



これを食べたら、終わりにしよう



そう決めた

*14*→←*12* tatsuya.side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (147 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
608人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 深澤辰哉 , 切ない   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Hoshi | 作成日時:2022年3月15日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。