20年前の君へ～【O.N.O.s】 (ページ45)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:27,537 hit

何回目かの夏ページ45

.

この2年間、あなたのことを忘れたことなんてなかった

この先も一生忘れることなんてできない

目を閉じれば、ふにゃりと笑うあなたの顔が映し出される

隣で子供のように笑っていた、あなたの顔と

一緒に過ごしたあの夏の青い空

テレビをつけても、もうそこには貴方はいなくて

今の姿を追うこともできなくなっていた

あの後、完全に失望していた私を支えてくれたのは大坂くんだった

好きだとも言ってくれた

けど、誰かと付き合う気は全く持ち合わせてなかった

私はやっぱり、あなたじゃないと嫌で

他の人なんてどうしても考えられない

あなた以上の人なんて、いないよ

バカだな、わたし

あなたが覚えてくれているかさえわからないのに

だいたい好きって言ってないし、面と向かって言われてもない

ちゃんと付き合ってもないのに

渡された指輪を全然外せない

あなたによく貸していたキャップもお気に入りになっちゃった

未練タラタラの女だ

自分でもわかってる

がんばって、がんばって

なんとか一人の生活に慣れた

辛かったけど、何度も泣いたけど

いつまでも立ち止まってられない

だからこうして、友達と電話をしながら東京の街を歩けるようになった

もう、大丈夫

あなたがいなくても、一人で立っていられる

そうだよね…？

.

それは一瞬だった

こんなところにいるわけない

そんなことわかってるけど

ふとあなたの面影が見えた気がした

「Aー？もしもしー？」

気のせい……？

行き交う人々を背に、後ろを振り返る

さっき見かけた人はどこにもいない

「もしもーーし？」

「あ、ごめん！なんでもない！」

信号の青が点滅していたので、急いで交差点を渡った

.

夏が始まろうとしている

そんな東京の空は、あの頃のように

青く、澄んでいた